Adoのスタジアムライブでは、クレディセゾンが発行するVisaカードの会員だけが先行抽選に申し込めた。ゴブラン織りのブランケットも同じ会員に限って販売された。7月には「SAISON CARD Digital<Ado>」の募集も始まった。券面はAdoのイメージディレクターを務めるORIHARA氏が今回のために描いたものだ。
ユニバーサル ミュージックとの間でも取り組みの形は同じだ。9月17日の発表会で両社は、原宿・竹下通りに開いたThe Weekndのポップアップストアを例に挙げた。午前10時から11時まではVisaカードの会員が優先して入場できるようにし「グッズの会計にも優先レーンがある」と里村氏は説明した。利用者からVisaはどう見えるのか。7月にそう問われた里村氏は「Visaを持たないと買えない。持っていることでこういうことができるかもしれない、という体験になっている」と答えている。
ただし、Visaは自らカードを発行していない。会員を抱えるのはクレディセゾンのような発行会社(イシュア)だ。そこでVisaは権利元との交渉役に回る。Adoの件では、レーベルのユニバーサル ミュージックとVisaがライブ協賛の話を進め、そこへセゾンを誘った。里村氏によれば、案件はイシュア全体に紹介し、手を挙げた会社と組む。Adoのカードはこの3社で契約を結んだ。同じ形の取り組みは、セゾン以外の発行会社にも広げる考えだという。
この仕組みでVisaは何を得るのか。里村氏は7月、成果を測る物差しを2つ挙げた。「行きたい場所へ連れて行ってくれるブランド」という認識が広がったかどうかの調査と、施策への参加者数・参加率だ。
2つの物差しに決済額は入っていない。ただ、決済への効果はスポーツの事例からうかがえる。サッカーW杯のビューイングパーティは、イシュアが会員を招待する形で220人を集めた。応募にはイシュアごとに利用額や利用回数の条件がある。「条件に合うように皆さんが頑張る。想定値をかなり超える形で消費もされた」(里村氏)。音楽で同じ設計をするとは説明していないものの、Adoのカードにも入会の翌月末までに1万円以上使うと2000円を戻す特典が付く。限定の特典に利用条件を付ければ、会員の利用額が増えるというわけだ。
預金3000万円でプラチナカード無料 三菱UFJ「50兆円の富裕層囲い込み」に透ける焦り
年会費16万5000円を「据え置いた」AMEX プラチナが売る"体験"の裏に「年500万円」の顧客選別
富裕層の「使う喜び」をどう引き出すか ダイナースとニューオータニ「18万円超カード」の真意
ANA「会員制度見直し」で問われる企業姿勢 JALとの比較で見えた“選別”の代償
ANAは座席指定不可、JALは変動制マイルへ 苦境の国内線“値上げとサービス制限”の真相
会見なしのANA、チーフCA解雇のJAL 航空2社の対応にみる危機管理広報の分岐点
マイル庶民化で激化する「地上戦」 決済額300万円のANA、生涯伴走のJALに見る勝算
「ANA系Peach」と「JAL系ジェットスター」 二大LCCが選んだ「生存戦略」の分かれ道
「希望退職を募集することになったら、私はJALを辞めます」 日本航空・菊山英樹専務
日本人「旅行離れ」の根本原因 インバウンド高騰で泊まれない実態と「AIの限界」
会員数「1億人超え」 欧州最大ホテルチェーンが日本で仕掛ける“脱中国人依存”の戦略Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング