CX Experts

4.1兆円「推し活」市場へ動くVisa カード会員を持たない決済ブランドが音楽を押さえるワケ(3/4 ページ)

» 2026年09月19日 08時30分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

単発IPから「幅」のプラットフォームへ ユニバーサル×Visaが描く世界進出

 会員限定の特典で利用を促す手法は、Visaだけのものではない。JCBは5月、プレミアムカードの会員に限ったライブ「JCB THE LIVE」を11月に開くと発表した。協力するのはVisaと同じユニバーサル ミュージックである。

 9月のVisaとの基本合意について、ユニバーサル ミュージック上席執行役員の玉木一郎氏は発表会後の囲み取材で、特徴を「幅」という言葉で説明した。玉木氏は、1つのIP(知的財産)と1つのメーカーや販売店が組む形と比べてみせた。これに対して同社には、松任谷由実のように上の世代が支持するアーティストもいれば、小中学生がファンのアーティストもいる。「答えは1つではない。幅の広いことが、この両者が組む特徴だ」。玉木氏はそう表現した。

photo1 ユニバーサル ミュージック上席執行役員の玉木一郎氏

 Visaの側にも同じ幅がある。里村氏は7月、アーティストには若手からシニアまでがいて、それによって組むイシュアのタイプが変わると話していた。世代の違うアーティストと、会員層の違うイシュア。2社が組めば、この2つを案件ごとに組み合わせられる。玉木氏もVisaと組む理由として、世界最大の決済会社であること、幅広い発行会社と付き合いがあること、多くの消費者とつながっていることの3点を挙げた。

 組み合わせの先には海外進出もある。Visaは2024年にK-POPの授賞式「MAMA AWARDS」のタイトルスポンサーとなり、2026年まで3年間の独占スポンサー契約を結んでいる。「K-POPがとっくにできていたとすれば、J-POPは本当にこれから」と玉木氏は話す。

 同社がカバー曲を配信するYouTubeチャンネル「Re:Re:Re:TUNE」は、玉木氏によると登録者が200万人近く、聞き手の約半数が海外にいる。ただし、今回の合意はVisaの日本法人によるものだ。リリースも、アジア地域の音楽フェスティバルでの連携を「視野に」協議を進めるという書き方にとどめている。玉木氏は「日本を中心に同心円的に広がっていったら」と期待を語った。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR