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「U3011」実力診断――デルの30型ワイド液晶ハイエンドモデル広色域IPSパネル、WQXGA、7系統入力(3/3 ページ)

» 2010年09月24日 16時15分 公開
[榊信康(撮影:矢野渉),ITmedia]
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目視での画質チェックで気になったところは?

 キャリブレーション結果以外の部分については、目視でチェックしてみた。前述の通り、U3011は輝度があまり下がらないため、低めの輝度設定で液晶ディスプレイを使うことが多い筆者にとって、マルチカロチンサプリメントと点眼薬を普段より消費するテスト作業となった。映画鑑賞のように画面全体を少し離れた場所から眺めるような用途では高輝度と高コントラストが映えるが、オフィススイートで文書を細かくチェックしたり、画面の細部に集中し続けるゲームや画像補正といった用途では、目が疲れやすく、度々の休憩を要した。

 ドットピッチは0.2505ミリと少々狭いが、個人的には問題ないサイズだ。2560×1440ドット表示の27型ワイドパネル(0.233ミリ)や1920×1080ドット表示の21.5型ワイドパネル(0.248ミリ)よりは広く、アイコンや文字のサイズが細かすぎると感じることはなかった。ただし、視力や設置場所、利用するソフトなどで印象は変わるので、一概にはいえないだろう。

 階調の再現性は高いが、表示の均一性(ユニフォミティ)については少し色ムラが見られ、テストした機体では画面の左側にわずかな赤みが差す傾向にあった。輝度ムラも多少は存在するが、輝度を最低に設定しても明るいほうなので、あまり目立たずに済んでいる。昨今の同社製IPSパネル搭載ディスプレイと同様、画面表面にはつぶつぶとした粒状が見られるものの、これも輝度が高めなためか、少し離れた距離で見るぶんにはさほど気にならない。

 IPSパネルを搭載するだけあって、視野角は広大だ。パネルサイズが30型ワイドと大きいだけあって、画面の隅ではさすがに多少のコントラストの低下を感じるものの、表示内容を大きく損なうほどではない。もちろん、画面を斜めからのぞいても、階調の反転や色相の変移などは発生せず、表示内容は安定している。

 応答速度は中間階調で平均7msと、IPSパネルにしてまずまず。動きが激しいゲームなどでは、背景のブレやキャラクターの残像が見えやすいこともあるが(この辺りの見え方は個人差が大きいが)、輪郭に偽色が派手に出るような不具合はなかった。フルHD映像コンテンツの表示も30型ワイド画面による迫力があり、広色域とダイナミックコントラストでメリハリが効いている。

Adobe RGBモードでのカラー/モノクログラデーション表示。Adobe RGBらしい鮮烈な発色。暗部のつぶれや白飛びは少々見られるが、総じて階調性は高い

sRGBモードでのカラー/モノクログラデーション表示。Adobe RGBモードと比較して、RGBCMYがかなりあっさりした発色になる。こちらも階調は整っている

表示性能、汎用性、価格のバランスが取れた30型ワイド液晶ディスプレイ

 以上のようにU3011の表示品質はなかなかに高く、Adobe RGB環境とsRGB環境の両方に対応できるほか、入力端子やスタンド機構、OSDメニューといった機能面や操作性にも大きな問題は見られず、全体的にハイレベルな仕上がりだ。用途によっては輝度があまり下がらない点がネックになるが、表示品質が多少低下するのを気にしなければ、グラフィックスドライバなどソフトウェア側で調整するという手はある。

 フルHDやWUXGAを大きく上回る超高解像度の大画面ディスプレイの選択肢自体が少ない現状では、性能、汎用性、価格のバランスがよく魅力的な製品だ。U3011を購入できる予算があれば、マルチディスプレイ環境でより大画面かつ高解像度を追求することも可能だが、継ぎ目のない1画面で広大な作業領域が得られるのは実に気持ちがいい。長期間使える高品位な高解像度・大画面ディスプレイを探しているなら、ぜひチェックしておきたい1台といえる。

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