“写真派”に贈る2010年夏の液晶ディスプレイ選び:夏のバイヤーズガイド(1/2 ページ)

» 2010年07月09日 14時30分 公開
[ITmedia]
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安さだけで液晶ディスプレイを選んでいいの?

 2008年夏ごろから、液晶パネルメーカーは安価なフルHDパネルをPCディスプレイメーカーへ潤沢に供給するようになり、あれよあれよという間に国内の液晶ディスプレイ市場はフルHD化と低価格化が進んだ。2010年7月現在、予算が2万円程度あれば、21.5〜24型のフルHD液晶ディスプレイをアレコレ選べてしまうという、3年前には予想も付かなかったような価格破壊が起きている。

 こうした低価格なフルHD液晶ディスプレイであっても、Webブラウズやメールを中心に、ちょっとした文書を作成したり、映像コンテンツを気軽に見たりといったスタイルでは、十分使えると思うかもしれない(当然、製品によって品質に多少の違いはあるが)。

 しかし、液晶ディスプレイに映し出されるコンテンツはさまざまだ。用途によっては、よりグレードの高い製品を選ぶことで成果に大きな差が付いたり、さまざまな付加価値が得られることもあり、逆に低価格な製品ではまったく対応できないケースも存在する。その代表格といえる用途が「写真編集」だ。今回は、写真編集により適した液晶ディスプレイの注目機種をチェックしていこう。

写真の色再現性で液晶ディスプレイを選ぶ

液晶ディスプレイの表示とプリンタの印刷で色を合わせたいなら、液晶ディスプレイにこだわりたい

 デジカメで撮影した写真データをPCに保存し、液晶ディスプレイに表示しながらRAW現像やフォトレタッチをしてプリンタで印刷したら、ディスプレイの表示と印刷の色がまったく違ってしまったという経験がある人は少なくないだろう。ディスプレイに正しい色を表示させ、プリンタが出力する色をきちんと合わせたいなら、「カラーマネジメント」を行うことが必須となる。

 ここでのカラーマネジメントとは、デジカメ、スキャナ、ディスプレイ、プリンタといった異なる機器間の色情報をICCプロファイルによって正しく伝達し、同じ画像データであれば、できるだけ同じ色が再現されるように管理する仕組みをいう。カラーマネジメント環境を整えるには、入力した色を正確に再現できるように調整する「キャリブレーション」作業を定期的に行うことが理想だ。

 一般的に液晶ディスプレイのキャリブレーションは、色温度(白色点)、輝度、ガンマなどの目標値を決め、測色器で画面表示の明るさや色を実測し、画面表示が目標値と一致するように調整することで実現される。

 液晶ディスプレイのキャリブレーションには、グラフィックスカードのドライバやソフトウェアでPCのRGB出力レベルを調整する「ソフトウェアキャリブレーション」と、ディスプレイ内部の設定をダイレクトに調整して色補正する「ハードウェアキャリブレーション」の2種類があり、後者のほうがコストはかかるが、高い精度が得られる。色再現性にとことんこだわるなら、個人ユーザーでもハードウェアキャリブレーション対応の液晶ディスプレイを検討したほうがいいだろう。

 ハードウェアキャリブレーション対応のカラーマネジメント液晶ディスプレイは、ナナオの「ColorEdge」シリーズやNECディスプレイソリューションズの「MultiSync プロフェッショナルモデル」、三菱電機の「Diamondcrysta Color」シリーズ上位モデルといったところが国内では定番だ。

 これらの製品群から個人ユースで購入を検討するなら、ナナオの「ColorEdge CG243W-B」(7月23日発売)、NECディスプレイソリューションズの「MultiSync LCD-PA241W」、三菱電機の「RDT262WH」といった、WUXGA(1920×1200ドット)対応の24.1〜25.5型ワイドモデルが、画面サイズ/解像度と価格のバランスにおいてオススメといえる。

ナナオの24.1型WUXGA液晶「ColorEdge CG243W-B」。EIZO直販価格は16万8000円だ。Adobe RGBカバー率98%、sRGB色域表示、16ビット内部演算処理/12ビットLUT、10ビット入力対応のDisplayPort、多彩な高画質化・表示安定化機能をそろえる。専用キャリブレーションソフト「ColorNavigator」が付属する
NECディスプレイソリューションズの24.1型WUXGA液晶「MultiSync LCD-PA241W」。実売価格は13万円前後だ。Adobe RGBカバー率98.1%、sRGB色域表示、14ビットのLUT、10ビット入力対応のDisplayPort、NEC独自のカラーエミュレーション機能などを備える。専用キャリブレーションソフト「SpectraViewII」は別売だ(1万6800円)
三菱電機の25.5型WUXGA液晶「RDT262WH」。発売は2009年2月で、実売価格は8万円前後まで下がっている。Adobe RGBカバー率97%、sRGB色域表示、12ビットLUTなどに対応する。専用キャリブレーションソフト「EASYCOLOR!EXPERT」が付属する

 これらの製品は、測色器(オプション)と各社専用ソフトウェアの組み合わせによって、ハードウェアキャリブレーションに対応するが、液晶ディスプレイとしての基本性能も非常に高い。

 画質のベースとなる液晶パネルに広視野角で色度変位が小さいIPS方式を採用。デジタルカメラの色域として標準的なAdobe RGBやsRGBでのキャリブレーションに対応できるため、広色域のAdobe RGB画像を編集して印刷したり、sRGB画像をWebにアップして配布したりといったことが、高い色再現性をもって行える。入力信号を内部で12ビット〜16ビットに多階調処理することで、きめ細やかな階調表現力を備えているのも特徴だ。

 なお、ハードウェアキャリブレーション対応の液晶ディスプレイには相応の測色器を組み合わせたい。測色器は分光(スペクトル)式とフィルター式の2種類に大別できるが、分光式のほうが精度が高く、高額だ。分光式の測色器はエックスライトの「i1 Pro」や「ColorMunki」、フィルター式の測色器はエックスライトの「i1 Display2」やデータカラーの「Spyder3」などがあり、価格差はかなり大きいが、長期間精度の高いキャリブレーションを行いたいなら、高品位で経年変化が少ない分光式を狙いたいところだ。

 ハードウェアキャリブレーション対応の液晶ディスプレイに、測色器や遮光フードをセットにしたモデルも用意されているので、測色器もまとめて導入する場合は、併せて検討するといいだろう。

エックスライトの分光式測色器「ColorMunki Photo」。実売価格は7万円前後
エックスライトのフィルター式測色器「i1 Display2」。実売価格は4万円前後
データカラーのフィルター式測色器「Spyder3 Elite」。実売価格は3万円前後

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