“ゲーム派”に贈る2010年夏の液晶ディスプレイ選び夏のバイヤーズガイド(1/2 ページ)

» 2010年07月13日 12時00分 公開
[ITmedia]
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その液晶ディスプレイでゲームは満足に楽しめる?

ゲーミングディスプレイ選びのコツは?

 前回のバイヤーズガイドでは、「写真編集」用途にこだわった液晶ディスプレイの選び方を紹介したが、同様に「ゲーム」用途の液晶ディスプレイを選ぶ場合にも注意が必要だ。特にプレイヤーの操作に応じて画面の表示内容を高速に切り替えるゲームの場合、激安ディスプレイでは実力不足な場合が多い。ゲームを快適に楽しむためには、ゲームに適したディスプレイを選ぶ必要がある。

 ゲーム用途を想定したディスプレイ、いわゆる「ゲーミングディスプレイ」は、ゲームファンを中心に人気の製品カテゴリーだ。明確な定義はないが、応答速度が高速な液晶パネルをはじめ、中間階調の応答性を高める「オーバードライブ回路」、ゲーム映像の迫力が増す画質モードを採用したり、映像入力から出力までの遅延時間を抑えることでゲームの操作と画面表示のタイミングが合うようにする「スルーモード」を搭載するなどして、ゲームへの対応力を高めていることが多い。

 ゲーミングディスプレイはこうした付加価値の提供によって、通常より高めの価格設定でもゲーム用途で満足度が高い製品に仕上げている。

120Hz駆動の液晶ディスプレイで攻める

 数あるゲーミングディスプレイの中でも、この夏、コアなゲーマーから熱い視線が注がれているのが、120Hz駆動の液晶パネルを採用したディスプレイだ。通常の液晶ディスプレイは60Hzで駆動(1秒間に画面を60回書き替え)しているが、これを2倍の120Hz駆動(1秒間に画面を120回書き替え)とすることで、動画ブレを抑えたり、3D立体視に対応できることが大きなメリットとなる。

 現在、国内で販売されている120Hz駆動のゲーム向け液晶ディスプレイは、2つのグループに大別できる。1つは垂直同期周波数120Hzの映像信号入力に対応し、NVIDIAの3Dシステムである「NVIDIA 3D Vision」をサポートする製品(1)、もう1つは120Hzの映像信号を入力できず、NVIDIA 3D Visionは使えないものの、「中間フレーム作成」機能による滑らかな映像表示を実現している製品(2)だ。

 まずは(1)だが、フルHD対応の製品としては、LGエレクトロニクス・ジャパンの「W2363D-PF」、デルの「Alienware OptX AW2310」、日本エイサーの「GD245HQbid」が挙げられる。

 主なスペックは以下にまとめた通りだ。液晶ディスプレイの基本スペックはほとんど横並びだが、入力端子やスタンド調整機能などの違いが大きく、ここが選択の大きな分かれ目になるだろう。

LGエレクトロニクス・ジャパンの「W2363D-PF」
デルの「Alienware OptX AW2310」
日本エイサーの「GD245HQbid」

120Hz駆動/NVIDIA 3D Vision対応のフルHD液晶ディスプレイ
製品名 W2363D-PF Alienware OptX AW2310 GD245HQbid
メーカー LGエレクトロニクス・ジャパン デル 日本エイサー
液晶パネル TN(非光沢) TN(非光沢) TN(非光沢)
画面サイズ 23型ワイド 23型ワイド 23.6型ワイド
解像度 1920×1080ドット 1920×1080ドット 1920×1080ドット
輝度 400カンデラ/平方メートル 400カンデラ/平方メートル 300カンデラ/平方メートル
コントラスト比 1000:1(最大7万:1) 1000:1(最大8万:1) 1000:1(最大8万:1)
応答速度 黒→白→黒:5ms、中間階調:3ms 中間階調:3ms 中間階調:2ms
視野角 上下160度/左右170度 上下160度/左右170度 上下160度/左右160度
表示色 約1670万色 約1670万色 約1670万色
映像入力 デュアルリンクDVI-D×1、HDMI×2 デュアルリンクDVI-D×1、HDMI×1 デュアルリンクDVI-D×1、D-Sub×1、HDMI×1
USB 2.0ハブ アップ×1、ダウン×4
画面位置調整 チルト チルト、スイベル、昇降 チルト
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) 555.5×205.95×419.2ミリ 549.3×194.4×377.7〜467.7ミリ 575×195×418ミリ
重量 約5.2キロ 約6.83キロ 約5.8キロ
保証期間 3年間 3年間+ドット抜け保証 3年間(パネル1年間)
実売価格(2010年7月13日現在) 4万円前後 4万3800円(直販価格) 4万円前後

 これらの製品は、デュアルリンク対応のDVI-DでPCと接続することにより、垂直同期周波数120Hzの映像信号入力と120Hzでの画面表示が可能だ。フレームレートを60fpsより上げられる3D対応のPCゲームなどにおいては、画面の書き替え回数が通常の60Hz駆動ディスプレイより多くなるため、動画ブレが少なく、滑らかな表示が期待できる。

 例えば、フレームレートが安定して120fps出るようなPCゲーム環境では、映像を毎秒120フレームで入力し、それを毎秒120回書き替えの画面に映し出せるため、60Hz駆動のディスプレイでは間引かれてしまうフレームが描かれ、FPS(一人称視点のシューティングゲーム)などのプレイで有利に働くことが考えられる。120fpsまでは出なくても、60fps超の高フレームレートでPCゲームをプレイするならば、その効果が得られるだろう。

 一方、標準的な毎秒60フレームの動画コンテンツを表示する場合は、120Hz駆動の大型液晶テレビのように中間フレームを作成するわけではなく、1フレームを2Hzぶん表示することになる。したがって、見え方は標準的な60Hz駆動の液晶ディスプレイとほぼ同じだ。家庭用ゲーム機などの毎秒60フレーム映像が滑らかに表示できるようになるわけではないので、この点は覚えておきたい。

NVIDIA 3D Visionの対応状況もチェックしたい

 垂直同期周波数120Hzに対応することで、NVIDIAの3D立体視システム「NVIDIA 3D Vision」が利用できる点も見逃せない。NVIDIA 3D Visionの利用には、120Hz駆動の対応ディスプレイのほか、NVIDIA GPU搭載の対応グラフィックスカード、専用の電子シャッター式3Dメガネが必要だ。現状のNVIDIA 3D VisionはPCゲーム用途がメインで、対応ゲームタイトルも多い(ゲームによって立体視の効果は異なる)。PCの3Dゲームを立体視で楽しみたいなら、NVIDIA 3D Visionのサポートが製品選びの必須条件となる。

 なお、NVIDIA 3D Visionはディスプレイ側で左目用の映像と右目用の映像を交互に素早く切り替え、その動きに3Dメガネの左目シャッターと右目シャッターの開閉を同期させる仕組みなので、利用時は画面の輝度が下がる。そのため、液晶ディスプレイのバックライト輝度は明るいほうが、視認性が高い。

 また、これら3製品の中では後発となるW2363D-PFは、3Dメガネのシャッター開閉に映像表示がズレないように、通常120Hzのデータ処理を内部的に172Hzでデータプロセッシングして安定化させる技術や、クロストーク(右目と左目の映像が重なって画質が下がる現象)の割合を減らす技術も搭載するなど、より高品位に3D立体視が行えるような工夫も見られる。

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