G1 Xの良さはそのデジタルくさくない操作系と拡張性にある。
ややゴツいけれども、カメラとしては適度な重さで、グリップの滑り止めもしっかり効いて安定感がある。内蔵ストロボが手動ポップアップ式になったので、不用意に光ってしまうことがないのもいい。
G12に比べるとISO感度ダイヤルこそなくなったが、同軸二段重ねの露出補正ダイヤルと撮影モードダイヤルは健在。グリップにある電子ダイヤルと、背面のロータリーダイヤルへ任意の機能を割り当てるショートカット機能はカスタマイズ可能なので、撮影時にさっと切り替えたい機能はまかなえるだろう。メカニカルなダイヤルは確実にすばやくセットできるので信頼感がある。
センサーサイズが大きい分、基本的な画質がよいので撮影時に小細工が必要なシーンはあまりないだろうが、ダイナミックレンジ拡張はときどき使うと便利。最高ISO感度が1600に限定されるが、ハイライト部を最高400%まで広げてくれるので逆光時などによい。
撮影モードはフルオートや各種マニュアルのほか、シーンモードとクリエイティブフィルタモードなどがある。フルオートではIXYやPowershotと同様、「主役フォーカス」や「こだわりオート」に対応。フルオートで気軽に撮ってもいいが、IXYや他のPowershotに比べると被写界深度が浅い分ピントがシビアなので、AFポイントは枠を小さくしてきちんと自分で指定するのがよいかと思う。AFの種類はオートのAFポイントを移動できるアクティブAF以外にも、キャッチAFや顔優先AFを選べる。AF速度はちょっと速いコンデジくらいだと思っていいだろう。


基本撮影画面。中央下にあるバーは電子水準器。ダイヤルガイドが表示されている(写真=左)、モードダイヤルを回すと画面上でも現在のモードが表示される(写真=中)、FUNCメニューから細かい設定を行える。NDフィルタも搭載(写真=右)

ISO感度。ボタンひとつでISOオートに戻せたり、ISOオート時の感度に上がり方を指定できるなど芸が細かい(写真=左)、2つのダイヤルに機能を割り当てることができる。撮影モードによって異なった割り当ても可能(写真=中)、ショートカットキーに割り当てる機能もセットできる(写真=右)液晶パネルはG12と同じバリアングル液晶で3型/92万万画素でけっこう見やすい。さっと開いて自由なアングルで撮れる。液晶モニタ上にあるのはズーム連動する光学ファインダー。ただここまでやるなら、EVFを搭載した方が実用性は高かったかと思う。次はぜひ検討してもらいたい。

光学ファインダーの左にショートカットキー、右に再生キーというのはG12と同じ。右上に録画ボタンが設置された。ISO感度ダイヤルがなくなったため、十字キーの上にISO感度が割り当てられ、マクロとMFが同じキーになった。それがG12との大きな違い(写真=左)、バリアングル液晶なので自由な角度にセット可能。縦位置ローアングルも撮れる(写真=右)と、これだけの性能で想定実売価格は6万5000円〜7万5000円前後(同社オンラインショップでの価格は7万4980円)。この撮像素子&画質とこの作り込みでこの価格は安いと思う。少なくとも、価格にふさわしい画質は得られるだろう。
クオリティ重視で実用性が高くて、けどズームレンズ一体型のカメラが欲しい人はぜひ、である。風景やポートレートを撮りたい人、仕事で記録写真を撮るとかそういう人にもいい。おしゃれなカメラより質実剛健な実用派カメラが欲しい人にもいい。ただ、マクロ撮影を多用する人(花を撮るとかコレクションを撮るとか料理を撮るとか)は最短撮影距離をチェックしてからがお勧めか。
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