今回取り上げるクラシック・デジカメはコニカのデジタルレビオ「KD-310Z」である。2002年7月発売、1.8型 334万画素CCDを採用したスタンダードなデジカメだ。新宿の中古カメラ店で良い出物があったので早速手に入れた。
「コニカのデジカメ」と一口に言っても、一般的には『デジタル現場監督』以外はあまりイメージできないだろう。他社に比べて発売された機種の数が少ないし、他社からのOEM供給を受けた機種もあるので、これがコニカだというカメラは数えるほどだからである。
なぜコニカがデジカメに注力しきれなかったのか。それは、コニカが日本で最初の銀塩フィルムメーカーであり、1970年代まではシェアがトップだった歴史にその原因がある。デジカメを推し進めることは、本業であるフィルムの衰退につながるからだ。フィルムでもデジカメでもトップを目指した富士フイルムとは対照的な対応だった。
それでも、コニカはミノルタと合併する2003年8月までの約1年の間にこのデジタルレビオシリーズで「コニカらしさ」を充分に発揮した。他社のデジカメが起動に5秒ほどかかっていた時代に、310Zは1.4秒という爆速の起動時間を実現したのだ(上位機種のKD-500ZはさらにサブCPUを内蔵して1.3秒起動となった)。コンパクトデジカメは、原価を抑えるために既存のOSをソフトメーカーから買うことが多いのだが、コニカはレビオシリーズのためにOSをいちから自社開発をしたのだ。それも主に「起動時間の短縮」のために。
感じた時にすぐに撮影できる起動時間に加えて、金属ボディのコンパクトさと剛性の高さ、光学ファインダーの見やすさ、正確さ、そしてフロントカバーの流麗なデザイン。そして伝家の宝刀、ヘキサノンレンズとくれば、これはもう高級コンパクトカメラ「ヘキサー」のデジタル版と考えていいだろう。
いや、コンパクトさにこだわっているところは「Big-mini」に通じるところもある。つまりKD-310Zはコニカの歴史的資産の中から必然的に生まれてきたデジカメなのだ。実際にシャッター音はヘキサーRFのものを使っている。(コニカミノルタのホームページにも既に記述がないので「ヘキサー」「Big-mini」を知らない人は各自検索してください)
ちなみにミノルタとの合併後も「ディマージュ Gシリーズ」としてレビオの系譜は続いた。しかし、ブランド名がミノルタ側のものとなってしまったので存在感は薄かったように思う。それでも最終型のG530では起動が0.8秒まで縮められていたのはさすがと言うしか無い。
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