2013年のCP+で最も話題をさらったといっても過言ではない……いや過言のような気もするけど、そのくらい面白がれるコンデジが登場した。キヤノンの「PowerShot N」である。
各社が「スマホ時代のコンデジのありかた」を模索する中、今までのコンデジの流れから少し距離をおいて、新たにひとつのアイデアを提示したのだ。一見、モニタがチルトする小型の8倍ズームコンデジというなんてことないカメラなんだけれども、よく見るといつもの位置にシャッターボタンがない。なによりこれが面白い。老舗カメラメーカーが作るカメラとは思えない思い切りだ。
発売が4月下旬予定でまだちょっと間があるわけで、今回触った製品も試作機とのことで画質の評価はできない。そのかわり、PowerShot Nならではの面白さを探ってみたいと思う。
1/2.3型 有効1200万画素の裏面照射型CMOSセンサーに、35ミリ換算28ミリからの光学8倍ズームレンズ。レンズの明るさはF3.0-5.9と、2013年初春のコンデジとしては普通のスペックである。
正面から見るとストロボがない。高輝度LEDがついていてこれが光るわけだが、ストロボほどの光量はない。背面は全体が液晶パネルで90度チルトする。背面全部が液晶ってことは当然フルタッチパネル。感圧式ではなく、スマホと同じく静電容量式なので反応はよい。画面のユーザインタフェースは従来の同社製品とほぼ同じだが、静電容量式になったおかげで使い勝手は悪くない。
電源や再生ボタンなどは両サイドにある。ここまでやったら液晶モニタを開いたら電源が入る、という手もアリかと思う。で、上面には何もない。じゃあ、シャッターとズームレバーはどこにあるのか。スマホと同じくタッチシャッターのみで撮るのか。
違うのである。これが一番面白いところだ。
PowerShot Nはシャッターの位置そのものを変えちゃったのである。レンズの根本に2つのリングがあり、ひとつがズームレバー、ひとつがシャッターリングなのだ。
シャッターリングは上下の2箇所にスイッチが入っており、上から押しても下から押してもいい。真横からはダメ。ただ、かなり斜めから押しても反応する。図にするとこんな感じ。
つまり、シャッターリングは「かなりアバウトに適当なところを押せばOK」なのだ。このアバウトに自由に押してもいいよ、好きな持ち方をして好きに撮ってねってとこが新しいのだ。
でもまあ、清く正しいカメラの持ち方が身についている人からすれば「どこをどう持てばいいのか困る」と戸惑うだろう。なあに、逆に変な持ち方をして変な撮り方をすればいいのだ。
いろいろと考えてみた。
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