ペンタックスリコーから、APS-Cサイズの大型センサーを搭載した高級コンパクトデジカメ「GR」が登場した。2011年に発売された「GR DIGITAL IV」の後継機にあたり、基本デザインと操作系を受け継ぎながら、ファン待望となる撮像素子の大型化を実現している。同社よりβ機をお借りしたので、インプレッションをお届けしたい。
実機を手にしてまず感心したのは、外観の印象がこれまでのGRシリーズとほぼ同じであること。マグネシウム合金外装の硬質な手触りや、部材がぎっしりと詰め込まれたような凝縮感、指になじむラバーグリップのフィット感などは、これまでのGRシリーズから継承したもの。サイズはわずかに大きくなった印象はあるが、それでも、手の中に隠れるくらい小さくて軽く、胸ポケットにもすんなりと収まる。GRユーザーを安心させる、いつものGRがここにある。
具体的に言うと、ボディサイズは117(幅)×61(高さ)×34.7(奥行き)ミリで、使用時重量は約245グラム。前モデル「GR DIGITAL IV」に比べると、幅は8.4ミリ、高さは1.2ミリ、奥行きは2.2ミリそれぞれアップし、重量は26グラム増えている。やや大きく重くなったが、センサーサイズを考慮すれば十分に小型軽量だ。ちなみに、このボディサイズは1996年に発売されたフィルムのコンパクトカメラ「GR1」と同じである。
実は、初代の「GR DIGITAL」が発売された2005年ごろからすでに、APS-Cサイズなどの大型センサーの搭載を期待するユーザーの声はあった。だが、「大型センサーを載せるとレンズやボディが大きくなり、GRではなくなってしまう」というのが、その当時、開発者を取材した際の回答だった。あれから約7年半。小型ボディのままで大型センサーを搭載する技術がいよいよ成熟した、ということになる。
ボディ天面の電源ボタンを押すと、沈胴式のレンズが約13ミリせり出して、約1秒で撮影スタンバイの状態になる。レンズには、35ミリ換算で28ミリ相当の単焦点レンズを搭載する。初代モデルから受け継がれた換算焦点距離であり、スナップショット用に使いやすい画角だ。28ミリ相当に慣れている人の中には、ファインダーを見る前からおおよその構図が予測でき、被写体との距離感がつかみやすいと感じる人もいるだろう。
新機能「35mmクロップモード」を使った場合は、画像の上下左右をカットして35ミリ相当の画角で撮影が行える。また、オプションのワイドコンバージョンレンズを装着し、21ミリ相当の超広角撮影を楽しむことも可能だ。
レンズの開放値はF2.8で、残念ながら手ブレ補正には非対応となる。開放値F1.9で、センサーシフト式の手ブレ補正を搭載したGR DIGITAL IVに比べると少々スペックダウンした部分である。センサーサイズの大型化によって高感度性能を大きく向上しているので、手ブレや被写体ブレが不安なシーンでは、ISO感度を上げて撮影するといいだろう。
AFには、コンパクトデジカメで一般的なコントラスト検出方式を採用。CIPA規格でのAF速度は約0.2秒。大きなストレスを感じることなくピントが合う。AFのタイムラグを避けたい場合は、GRシリーズでおなじみの「フルプレススナップ」機能が役立つ。これはシャッターボタンを半押しせずに一気に押し込んだ際、事前に設定したフォーカス位置で素早く撮影できる機能だ。
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