――撮像面に搭載された像面位相差AF用センサーとコントラストAFをレンズによって使い分ける「DUAL FAST AF」によって、フォーサーズ/マイクロフォーサーズいずれのレンズでも高速かつ高精度なAFが利用できるとしています。他社製品でも併用方式はありますが、なぜフォーサーズレンズ時は像面位相差AF、マイクロフォーサーズレンズ時はコントラストAFという排他式なのでしょうか(正確には完全な排他方式ではなく、マイクロフォーサーズ規格のレンズを装着してC-AFを選択したときのみ、2方式の併用となる)。
杉田氏: AF駆動の方式はレンズ設計にも影響を及ぼします。位相差AFの場合はピントレンズの位置が一発で決められるので、ピントレンズが若干重くても影響は出にくいのですが、コントラストAFの場合はピントレンズが徐々に位置決めをするので、軽くする必要があります。
位相差/コントラストAFの利用方法については、途中までを位相差、最終的な微調整をコントラストAFという併用式を採用する他社製品もありますが、OM-D E-M1ではAF速度を考慮し、レンズに応じた方式を選択する形としました。E-5と比較しても、体感ではまったく速度・精度のいずれも引けを取らないと自負しています。
独立したAFセンサーを使うことなく、像面での位相差AFということで、その違いを気にされるかもしれません。細かくいえば違いはありますが、位相差AFという方式そのものは同じですので大差はないと考えています。
ちなみにフォーサーズレンズを使用する際にも、ボディが電子接点でレンズを認識していますので、レンズデータはExifにも記録されますし、レンズ1本1本に応じた補正をカメラ側で行う仕組みも入れています。その補正は画一的なものではなく、周辺解像の高いレンズならばその解像力をいかすようになど、レンズの特徴を引き出すものです。現時点では既存レンズのみの対応ですが、今後登場するレンズに対しても何らかの形で対応することを考えています。
――いまフォーサーズレンズ「ZUIKO」の話題が出ました。OM-D E-M1の製品発表会の席で生産販売は継続していくとしていましたが、新規開発はどうなるのでしょう。
杉田氏: 今回やりたかったのはフラグシップ機たる統合機の投入で、これは一眼レフとミラーレスの統合を図った製品です。今後は「統合」の概念を念頭に置いた、レンズ交換式デジタルカメラの企画開発を進めていきたいと考えています。
――同じく製品発表の席で笹社長(オリンパス 代表取締役社長執行役員 笹宏行氏)からは「一眼レフ市場は引き続き重視してゆく」という趣旨のコメントをしました。これはどのように理解すればよいのでしょう。
杉田氏: 現在の市場で「一眼レフ」というポジションの機材がターゲットとしている、ハイアマやプロの方を対象とした市場を今後もきちんとターゲットにしてゆくという意味でご理解頂ければと思います。
杉田氏: フラグシップ機を企画開発していく中で強く感じたことは、「フォーサーズとマイクロフォーサーズの橋渡しをしたい」ということでした。いままで送り出したすべてレンズにわたしたちは自信を持っていますし、本来レンズというものは資産であって、すべてのオリンパス製レンズをすべてのオリンパス製カメラで使えるのがあるべき姿なのです。そのためのボディがOM-D E-M1なのです。
E-Systemのフォーサーズ機からオリンパス製レンズ交換式カメラに親しんで頂いている方も、PENなどマイクロフォーサーズ機から親しんで頂いている方にも、同じようにレンズの楽しさを提供したかったのです。特にフォーサーズレンズのメリットを多くの人に感じて頂きたい、以前からそう思っていました。OM-D E-M1は単に高性能なフラグシップというだけではなく、そのための橋渡し役も担うカメラなのです。
写真で見る、「OLYMPUS OM-D E-M1」
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