いやあ、これはすごい。ここまでスコーンと突き抜けられると、もう細かい事はどうでもよくなるというか、もう降参です、というか、一芸に秀でたどころじゃないムチャっぷりがたまらなく面白くなる。そんなカメラが出たのである。ニコンの「COOLPIX P900」だ。
一眼レフ風の少々ゴツくてでかいボディを持つ超高倍率ズーム機。まあそれは珍しくない。毎年、50倍とか60倍のズーム倍率を誇るコンパクトデジカメは各社から出てる。
P900がすごいのは、毎年少しずつズーム倍率が増えてきた中で、「そんなちまちまやってられるか、うちは一気に行くぞ!」とばかりに望遠側を“どかん”と伸ばしてきたのである。もうシャレになってないレベル。何しろ、望遠端が35mm判フィルム換算で2000ミリになる。「2つめの大台」に乗ったのだ。ズーム倍率は83倍である。
ここまでムチャなスペックをやられたらもう何をかいわんや。
正直、今までこの手の超高倍率ズーム機はあまり評価していなかったのだ。1200ミリとか1365ミリ相当といわれても、イメージセンサーは1/2.3型と大きくないし、レンズ的にも無理してるから画質的にも微妙だし、使い勝手もぎこちないし、ボディは大きいし、それだったら600ミリ相当止まりでもミラーレス機に望遠レンズを付けた方がいいじゃないかと思ってたわけである。
でも2000ミリ相当まであると全然違う。ここまでシャレにならない倍率だと、それだけで笑っちゃうくらい面白いのだ。
なにしろ、これが、
こうである。
動画で見るともっと面白い。
83倍ともなるともう画質云々とは違う価値が出てきちゃう。何しろ肉眼ではよく見えないものでも撮れるのだ。
レンズの明るさはF2.8からF6.5。この超高倍率で広角端でF2.8を確保し、2000ミリ相当でもF6.5にとどめてるのもよし。
さすがにめいっぱい望遠にすると鏡胴もぐんと伸びて巨大なカメラになるが、まあその姿も悪くない。
イメージセンサーが1/2.3型の1600万画素なので、ISO感度を上げるとディテールが怪しくなるのはしょうがない。オートではISO800まで上がる。マニュアルでは最高でISO6400だ。
ボディは他社の廉価な高倍率ズーム機に比べるとしっかり作ってあり、けっこう剛性感があってグリップ感もよいし、アイセンサーを使ったEVFと背面モニターの自動切り替えも搭載(低価格な超高倍率機ではアイセンサーを持たないものが多い)しているし、背面モニターはバリアングル式なので自由なアングルで撮れる。P900は「P」シリーズを名乗るだけある。
ただEVFのクオリティはそれなりだ。
操作系もよい。電子ダイヤルも背面のロータリーダイヤルも装備。グリップ感もしっかりあって、構えた感じもしっくりくる。せっかく2つもダイヤルがあるのに効率よく使えてない(マニュアル露出時以外は片方のダイヤルが空いちゃう)のは残念な点だ。
ズームレバーもシャッター回りと鏡胴側面と2カ所にあり、使いやすい方を選べる。
撮影モードはオートのほか、PASMの各マニュアル系モード、デジタルエフェクトモード、よくつかう夜景モードや風景モードは独立したモードに、さらにシーンモードが用意されている。
特にシーンモードの「月」と「鳥」に注目だ。普通のカメラにはないモードだからね。P900は月と鳥を撮るカメラだといってるかのようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR