オリンパスはOM-Dシリーズにばかり力を入れて、もうPENシリーズはエントリー向けだけにしちゃうんじゃないかとご心配されていた皆さま、あるいは、オリンパスのミラーレス一眼は良さそうだけど一眼レフっぽいOM-Dのデザインは苦手だなと思っていた皆さま、お待たせいたしました、という感じで登場したのがPENシリーズの最高峰、「PEN-F」である。
往年のカメラ好きなら知っている、1963年発売の「オリンパス ペンF」。そのネーミングをデジタルカメラに持ってきたのだ。でも半世紀も昔のことは知らなくてもOK。PEN-Fはメカっぽいデザインと操作系を備えた、個人的な感覚ではPEN史上一番カッコいいモデルであり、往年のカメラくさいメカっぽい外観に最新の技術を詰めこんだミラーレス一眼であり、ぱっと現物を見て「あ、これはしっかり作ってあって触りたくなる」と思えばそれでよいのである。
特に注目すべきは、
の3つかと思う。その3つを中心に見ていきたい。
やはり最初に注目すべきはファインダーだ。PEN-FはPENシリーズの中で最もダイヤルが多く、昔ながらのカメラの操作系になっている。となると、ファインダーをのぞいたまま指でカチカチと操作するのが一番気持ちよい。
露出補正ダイヤルを新設。さらに前後の電子ダイヤル。一つを絞り(あるいはシャッタースピード)にセットしても一つ空くので、そこにISO感度やWBを割り当てられる。これはよい。ダイヤルは右手人差し指と親指で。
背面のタッチパネル付モニターは「AFターゲットパッド」対応。これをオンにすればファインダーをのぞいたまま、モニターを親指でなぞってAFポイントを動かせる。
いざ使ってみると、PEN-FがEVFを内蔵したのは正解だった。
EVF自体の大きさやクオリティはOM-Dのハイエンド機「OLYMPUS OM-D E-M1」にはちょっと及ばない。でもその分コンパクトで、PENシリーズの名に恥じないサイズに収まっている。背面モニターは可動式。「OM-D E-M5 Mark II」と同様にバリアングルとなった。可動範囲が広いバリアングル式と、上下にしか動かないがシンプルなチルト式のどちらがよいかは言及しない。
バリアングルのため、180度回せば自分撮りも可能だ。モニターを回して顔を検出すると自撮りモードになり、タッチパネルでシャッターや美肌、セルフタイマーをすぐ扱えるのはよいアイデアだ。
シャッターは中央にケーブルレリーズ用のネジ穴が切ってある。レトロ趣味に見えるかもしれないが、デジタルの時代でもケーブルレリーズは確実に装着できて、さまざまな長さのものが出ており、実用性は高い。
フラッシュは外付けのみ。付属の小型フラッシュは発光部が稼働するため、バウンス発光にも対応する。光量は大きくないので(GN=9.1)汎用性はそこまで高くないがかなり便利だ。
イメージセンサーも新しくなった。ここ数年、ずっと約1600万画素のままだったが、パナソニックの「LUMIX DMC-GX8」に続いて、2030万画素のセンサーを搭載。少し画素数が上がった。ボディ内手ブレ補正は5軸で相変わらずよく効く。
撮影機能は非常に豊富。豊富すぎるほど。OM-D E-M5 Mark IIで採用されたハイレゾショットももちろん入っている。これは特筆すべきなので使って見るべし。ハイレゾショットは元の画素数が上がった分、さらに解像感が上がった。手ブレ補正機構を利用し、ほんのちょっとだけセンサーを動かしながら8枚連写し、合成することで高解像度な画像を得るのだが、上手くいくとスゴいのだ。5000万画素相当ならではのディテールまでしっかり捉えた絵を見せてくれる。次の図は通常の撮影とハイレゾショットを等倍表示して見比べたもの。れんがのひとつひとつがハイレゾショットだときっちり解像している。これはすごい。
ただし、ホンのわずかなブレも許されないので、撮影にはがっしりした三脚が必須だ。また風の影響を受ける被写体もよくない。室内での撮影や建物向きだ。シャッタースピードは最高で1/8000秒とさすがハイエンド機のメカシャッター。さらに静音モードにすると電子シャッターに切り替わり、最高1/16000秒となる。また、低振動モード(電子先幕シャッター)は1/320秒までだ。静音モードは本当に静かで恐ろしいほど。普段は低振動モードと静音モードの使い分けでよさそう。
連写は最高10コマ/秒となかなか早い。ISO感度は最高ISO25600と変わらず。高感度時の画像は従来の1600万画素センサー機と同等だが越えてはいない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR