上記を踏まえて、実際に改革を成し遂げた事例を紹介したい。
50カ国以上に拠点をもち、150カ国以上で事業を展開、総人員数11万人を超える消費財メーカーが実現した取り組みだ。改革の端緒となった経営課題は、表計算をベースとした経営計画策定業務が非効率なもので、その品質向上と効率化をグローバルレベルで80以上の子会社を持つ事業を対象に実現したいというものだった。
アプローチとしては、SAPのSEM/BPSという経営計画策定用のモジュールとBWというDWHツールを組み合わせて、ユーザーインタフェースをWeb化するなど、経営計画策定業務全般の根本的な改革を実施した。
その結果、業務全体の統合化、効率化によって、大幅な工数削減とともに、管理サイクルの多頻度化を実現した。また、情報プラットフォームを一元化したことで、会社単位の制約を全く意識することなく、業務全体のステータス管理と追跡が可能になり、各部門責任者、担当者のオーナーシップが醸成され、精度向上とともにタイムリーな予測手法が確立された。
また、多数のレガシーシステムからのデータ収集と統合を行い、データ品質が向上し、当該事業グループ全体をカバーする理想的な経営情報管理を実現した。
このように、子会社という制約をデータベースの統合というアプローチで解消したことで、処理スピードの向上、間接人件費の削減、担当者業務の付加価値アップにもつながり、飛躍的に経営品質の向上につながることが実証された。
まだまだ、改善の余地があるが、同様の経営課題を抱える多くの企業が今後CPMを実践する場合に、現時点でのベンチマーキングとしては参考にできる。
伊藤 雅彦
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