最新ニュースや英語は大切。でも基礎知識だって忘れずに 【技術職編】春の新人応援連載(2/2 ページ)

» 2007年04月13日 07時00分 公開
[大山貴弘,ITmedia]
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経験によって視野が広くなり基礎が見える

―― 新入社員の頃の経験で、印象に残っていることがあれば教えてください。

高田 オラクルに入社する以前、まったくの新人の頃に勤めていた会社での話ですが、大きなプロジェクトのメンバーに突然加えられました。そのプロジェクトの全容も何も把握できていませんでしたが、ある時システムにトラブルが発生してしまったのです。メンバー総動員で復旧作業を行い、その後、特別体制で非常事態に対処できる仕組みを社内で設けました。最終的には、お客様に真摯な態度を示すことによって信頼も回復でき、問題は解決したのですが、同時に、システム全体を管理することの重大さを痛感したのもその出来事でした。

枇榔 私もオラクルに入る以前、初めて就職した会社のことなのですが、新人としてお客様のところまでフロッピーディスクを届けにいった時のことです。実は、そのフロッピーの中にウイルスが混入していて、セットした瞬間に音楽が鳴り始めました。当時はコンピュータウイルスというものが分からず、ただただ呆然とするだけだったのですが、幸いなことにそのお客様はウイルスチェッカーをインストールされていて大事には至りませんでした。それ以来、ウイルスに対しては人一倍気にするようになりましたし、お客様と接点を持つことの責任を感じるようになりました。

―― 社会人としての経験を重ねることで、自分自身の変化や成長を感じるところはありますか?

枇榔 学生の頃からアルバイトでプログラミングをやっていたのですが、その頃と一番変わったと思うのは、全体を意識するということです。一部のモジュールだけに集中するのではなく、システム全体、さらにそのシステムからつながっている別のシステム、それを使うユーザー、そしてそのシステムが与える影響、という部分まで広げて考えられるようになりました。視野が広がれば広がるほど、原点に戻って、何事も基礎の部分が大切なのだな、ということに気が付くようになりました。

高田 私も同じように、技術や人など何でも結び付けて考えられるようになった、という実感があります。新人の頃は自分の仕事だけで精一杯ですが、もっと視野を広く持つことができるようになりましたね。

枇榔 逆にBIの分析癖が付いてしまって、買い物のレシートをもらうたびに「このデータを収集していくと何が分かるか?」と考え込んでしまう時期がありました(笑)。

高田 それからポイントカードを見ると「どうしてこの会社はポイントカードを導入したのだろう? どんな顧客情報が欲しいのだろう?」って考えてしまいますね。そうやって注意していると、何カ月後かにその会社で新しいサービスや機能が発表になったりして、「なるほど!」って感心したり(笑)。

新人なら思い切ってチャレンジ

―― 新入社員だった頃の自分に対して、今だったらどんなアドバイスが出来ると思いますか?

枇榔 もっと報告上手になれば良かったなと思います。何かあった時に、いわゆる「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」はしていたのですが、それが目先だけの報告だったというか、自分だけが分かる情報だったというか。報告を受ける方だって、問題となっている前提や周辺の状況が分からないと、部分だけの報告をもらっても的確なアドバイスができないですからね。

高田 そういう意味では、最初から仕事の全体像を見ることはなかなか難しいことだと思いますので、人の意見を大事に聞くことですね。上司から言われたことをこなすのは当然ですけど、「どうしてこういうことを言われたのだろう? なぜやらなければならないのだろう?」と分析して消化することの積み重ねによって、もっと自分を俯瞰できるはずです。

―― 最後に、これからこの仕事に携わる新入社員にアドバイスをお願いします。

枇榔 やっぱり上司というのは経験を持っていますので、新入社員へ仕事を任せる場合にはちゃんとリスクヘッジしています。だから、新人はもっと思い切ってチャレンジしてみるということが大切だと思います。たとえ失敗したとしても一つの経験ですし、その失敗を元に新しいアドバイスを上司からもらえると思います。

高田 変なところで遠慮しないことですね。チャレンジするにしても、アドバイスを求めるにしても。逆に「新入社員なんだから」っていう気持ちで、いろいろやってみることだと思います。それが新入社員の特権ですし、後輩ができればその特権はあっという間に剥奪されてしまうわけですからね(笑)。

先輩からのアドバイス 三カ条

  • 新しい情報を追うだけでなく、その根底にある基礎も学習する
  • 海外から発信される最新IT情報のキャッチアップに英語は必須
  • 失敗を恐れず、仕事の全体像を俯瞰できるようにチャレンジする

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