「良いダメ出し」で部下は10倍知恵を絞る企画マネジメント 「ダメ出し力」ありますか?(2/2 ページ)

» 2007年06月27日 14時06分 公開
[大西高弘,アイティセレクト編集部]
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あわてている上司を見透かす部下

 たとえ、部下が1人か2人であろうと、マネジャー1人で「新機軸」をひねり出すよりは協力してもらったほうがいい。

 前出の長谷川氏も、「たった1人で何か新しいことをしようというのは、土台無理だと考えておいたほうがいい。本人がどんなにすばらしいアイデアマンでも、複数の人の協力をあおぎながら企画を練っていくべきです」と語る。

 ここで、普段のマネジメント力が問われてくる。

 緊急企画会議を招集して、メンバーに自分が言われたことを告げる。しかしそれだけでは茫漠としているので、やおら、雑談モードで場を和らげながら、「自由闊達な議論」を展開しようとする。しかし、メンバーたちはマネジャーの置かれた状況を瞬時に把握している場合が多い。「また、誰かに突然言われてあわてているな」という具合である。

 そこから、何とかメンバーが知恵を絞ってくれるかどうか。これはマネジメント力、もっと言えば「ダメ出し力」ともいうべき力をマネジャーが普段から発揮していたかどうかにかかってくる。

日常のダメ出しが熱い部下を生む

 「いい企画がどんどん出てくることはまずめったにありません。とくに新機軸を打ち出すような企画の場合は、なかなか出てこないはずです。当然メンバーが必死になって知恵を絞る必要がある。そこまでの意欲を引き出せるかどうかは、『ダメ出し』が日常の中でできているかどうかにかかってくる」(長谷川氏)

 前出の7つのチェックポイントなどを活用して、マネジャー自身の企画に対する判断基準があるかどうかなのだ。ぶれない判断を普段からしていると、メンバーたちから評価されていれば、知恵を絞るモチベーションも高まる。判断基準があいまいだと、メンバーの企画に対する判断も甘くなってくる。企画マンとして将来独立できるぐらいの力量を持ったメンバーがそろっていれば話は別だが、そうでなければ、ダメだしには、もっとも神経を使うべきである。

 「なぜ、その企画がダメなのかを7つのポイントで判断すると、企画を出した方も不満はたまりにくい。このポイントは(1)背景・経緯から(7)他に与える影響まで順番にチェックしていくことになっています。ですから、背景・経緯という最初の段階でつまずいているのか、最後の段階で考えが甘いのか、という説明もしやすいはずです」(長谷川氏)

 ほめることも難しいが、ダメ出しはもっと難しい。しかし、これを意識してマネジメントしていると、あなたが率いるチームに粘り強い積極性が生まれてくるはずである。

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