囲い込みは時代遅れ「2009 逆風に立ち向かう企業」買う市(2/2 ページ)

» 2009年01月16日 08時00分 公開
[聞き手:杉浦知子,ITmedia]
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2008年12月に、フリーペーパー「R-25」を“メディアジャック”した。「消費者からの反響とともに、『livedoorデパートに出店したい』というテナントからの問い合わせが多くあった」と、平松氏。

ITmedia 利用者にとってのオープン化のメリットはありますか。

平松 Yahoo!ショッピングとの業務提携で、商品の相互乗り入れを始めました。買う市が運営するECサイトに利用者を囲い込むのではありません。利用者が買う市のサイトからもYahoo!ショッピングのサイトからも、自由に商品を選べるようにするのです。テナントにとっては商品を売る機会損失を減らせるメリットがあるわけです。

 現在はYahoo!ショッピングの商品検索にlivedoorデパートの商品一覧が表示され、livedoorデパートの商品検索結果からYahoo!ショッピングの商品に誘導しています。これは、リアルな店舗では難しいことです。リアルな店舗では在庫がなかった場合、移動してほかの店舗を探さなければなりません。インターネットショッピングならではのメリットだと思います。サイトにログインしたまま、ほしい商品を次々と探していけるわけですから。

 今後、Yahoo!との業務提携では決済システム、物流の共同化を進める予定です。ロジスティクスの強化と決済方法の簡便化が求められています。


ITmedia ECサイトのボトルネック、つまりECが普及していくための障壁というものはあるのでしょうか?

平松 インターネットショッピングの伸びを阻害するものの1つは、インターネットというものに対して既得権を守ろうとする動きですね。今やスーパーマーケットで薬も買えて、薬屋でビールも買える時代――リアルな店舗でも商品のオープン化が進んでいるのに、インターネットショッピングでは規制がかかることが多くあります。その典型的な例が、薬事法の規制です。難しく考えずに、ECを1つの手段として考えてもらいたいと思っています。

 物流もインターネットショッピングが抱える課題です。どんなに商品を安くしても送料がかかると全体的な値段は高くなってしまいます。「○○円以上買ったら送料無料」などといったことで、送料をかからないようにする取り組みはなされていますが、残念ながら送料をゼロにはできないのが現状です。物流コストが下がれば、ネット上で商品を買うことの利便性が高まります。これからのチャレンジですね。

ITmedia 配送に関しては、改善の余地がまだまだある気がします。

平松 わたしは、コンビニエンスストアがポイントになる気がします。コンビニエンスストアには配送のシステムが出来上がっていますので、それを活用しない手はありません。料金を支払うだけでなく、商品の受け取りに利用できるようになると、利用者の利便性も上がります。

 日本人のライフスタイルが変化し、自分の都合の良い時間に荷物を受け取りたいといった要求が増えています。特に若い女性は自宅に宅配業者が荷物を届けることに不安を持つ人も多いためです。コンビニエンスストアが「トレーディングポスト」として、テナントと消費者を結ぶ場所――荷物の受け取り、支払いをする場所になると便利だと思います。わたちたちは、利用者のライフスタイルの多様化に合わせたサービスを開発していくべきです。

 トレーディングポストとして、いろいろな人がいろいろな目的でコンビニエンスストアに集まるのです。荷物を受け取りに来たついでにメロンパンや弁当を買うという、コンビニエンスストアのあり方も変化していくことでしょう。もっと積極的なコンビニエンスストアの活用を考えてみると、面白いサービスがどんどん生まれてくると思います。

ITmedia 個人的な目標を教えてください。

2009年は宇宙に行きます。また、農業を始めたいです。第一次産業はなくなってはならないものですから、大切にしていきたいですね。

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