「言葉の市場」を攻略するニッチターゲティングキラーウェブを創る(3) ネットオフ(4/4 ページ)

» 2009年06月04日 08時00分 公開
[前野智純,ITmedia]
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フロントエンドとバックエンドで徹底的に分析

 データベース活用の目的は、商品管理の効率を高めるだけではない。膨大な商品と会員情報、販売/買い取りデータ、非会員を含むアクセス情報などのデータを特定の目的で分析し、次の一手に生かす。時にそれは、確信に満ちたものではなく「多分こうであろう」という仮説に基づいたものだ。それを検証し、継続する試行錯誤こそ、マーケティングの本質といえる。

 同社はサイトに訪れたユーザーの足跡を記録するアクセスログ解析データを「フロントエンドデータ」、会員情報や商品マスターデータなどを「バックエンドデータ」と位置付け、それらをユーザーの一連のアクションとしてシームレスに分析している。

image フロントエンドとバックエンドの分析をシームレスに連携させることで、より正確な実態が見えてくる

 例えば継続的にコミックをまとめ買いしてくれる上位顧客は、何をきっかけに来てくれるのか。検索エンジンであれば、どんなキーワードで来ているのか。「継続的にコミックをまとめ買いする上位顧客」はバックエンドデータから、「何をきっかけに来ているか」はフロントエンドデータから分析できる。それらを連携することで、より詳細なユーザー像が浮かび上がってくる。

 また「買い取り」は同社にとって極めて重要な要素だ。いかに販売のマーケティングを実施しても、商品がなければ機会損失につながる。そこに企業としての命運がかかっているといっても過言ではない。買い取り客はどのようなニーズを持っているのか。引っ越しや模様替えの「片付け」なのか。少しでも高値で売りたいという「小遣い稼ぎ」なのか。そして、その人達は、何を起点にサイトを訪れるのか。あるいは、買い取り客はもともと購入客なのか。ここでも、フロントエンドとバックエンドのデータを最大限に生かし、ユーザー像を徹底的に分析する。そして、次の一手につなげていく。

 リピートユーザーの獲得、および客単価のアップにはレコメンド。新規ユーザーの獲得には検索エンジン対策。買い取り促進には顧客動向の分析。それらフロントエンドとバックエンドのデータを組み合わせ、あらゆる仮説のもとに切り口を変え、より精度を上げていく。今後は、衣類やスポーツ用品をはじめとした、家庭に眠るありとあらゆるものに取引商品を拡大していく。よりユーザーの実態に迫り、満足度を上げるための試みにゴール地点はないと考えている。


 バックエンドやフロントエンドのデータを分析し、次の施策に生かすことは、とりもなおさず「ユーザーとの対話」である。ユーザーと直接接触しないECサイトは、あらゆる手段を駆使して、ユーザーの実像を知る必要がある。大切なのはノウハウではなく、より深くユーザーを知ろうという姿勢だ。

著者プロフィール:前野智純(まえのともずみ)

前野智純

エクストラコミュニケーションズの代表取締役。「キラーWebでNo.1をつくる」をテーマに、コンサルティングやプロデュース、マーケティングなど各種Webサービスを提供している。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「キラーウェブがキラーカンパニーを創る」で、Webマーケティング関連の記事を執筆中。著書には「キラーウェブ」 「Webプロデュースのプロが教えるサイト集客のツボ」などがある。


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