Yahoo!との提携は「前回の提案より不利な面も」とバルマーCEO打倒Googleで一致(2/2 ページ)

» 2009年07月30日 16時02分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK
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 バーツ氏によると、今回の取引は、Yahoo!のユーザーインタフェースを維持しながら、Microsoftの技術も利用できるという点で自社にメリットをもたらすという。

 この提携は、Yahoo!の姿勢が大きく変化したことを物語るものでもある。5月にカリフォルニア州カールズバッドで開催された第7回年次「D: All Things Digital」カンファレンスにおいて、バーツ氏は「多額の現金」が前金として用意されるという条件であれば、Yahoo!の検索部門をMicrosoftに売却する意思があると聴衆に語った

 さらに6月には、ニューヨークで開かれた「Bank of America and Merrill Lynch U.S. Technology Conference」において、バーツ氏は「MicrosoftとYahoo!との提携はどのような形であれ、Yahoo!にとっては5億〜7億ドルの経費節減につながる」と述べた。これは主として、人員削減とデータセンターのコスト削減による効果だ。バーツ氏はこのイベントで、Bingに対する当初の関心の高さは「一時的」なものであり、Yahoo!は「Microsoftと手を組まなくても十分やっていける」とも語った。

 しかし7月に入ると、検索とオンライン広告事業での提携に関して具体的に話し合うために、MicrosoftとYahoo!が交渉のテーブルに戻ったといううわさが流れ始めた。両社はこの件でコメントを避けたが、MicrosoftがYahoo!に数十億ドルを支払ってYahoo!の検索広告事業を獲得するとの憶測も飛び交った。

 アナリストの間では、Microsoftが立ち上げた検索エンジンBingは、同社が新たにYahoo!との提携に乗り出すかどうかをめぐる判断に影響するのか、両社が提携するとしたらどのような形態になるのかといった議論が噴出した。「Bingが登場して最初の数週間で成功の兆しが現れたことで、Microsoftはオンライン検索ビジネスを独力で展開できるという自信を深め、MicrosoftとYahoo!のコラボレーションの可能性が消えるだろう」と主張するアナリストもいた。

 しかし米BroadPoint AmTechのアナリスト、ベンジャミン・シャクター氏は逆に、Bingの人気のおかげで、MicrosoftはYahoo!との交渉で提携条件を提示する立場に立つことができるとの見方を示した。「Bingの成功が続けば、MicrosoftとYahoo!の提携の可能性が高まると思われる」と同氏は7月15日付の調査メモに記している。

 MicrosoftとYahoo!は現在、米国の検索エンジン市場でそれぞれ8.4%と19.6%の市場シェアを持っている。一方、Googleのシェアは約65%。MicrosoftとYahoo!が力を合わせることにより、両社は市場の約3分の1を支配し、共通の宿敵であるGoogleに対する競争力を高めることができる。今回の提携は、有料検索市場におけるYahoo!のシェア低下に歯止めを掛ける可能性もある。米調査会社SearchIgniteの7月の報告書によると、同市場でのYahoo!のシェアは前年比で26%低下し、その大部分はGoogleにシェアを奪われた結果だとしている。

 実際、Microsoft-Yahoo!連合は、市場シェアの拡大だけでなく、広告収入の増加という形でも両社に潜在的なアドバンテージをもたらすだろう。米市場調査会社Gartnerのアナリスト、デビッド・スミス氏は米eWEEKの取材で、「両社合わせた市場シェアは重要な意味を持つ。検索広告ビジネスはフィードバックループのようなもので、多く持っている者がより多くを手に入れるのだ。Yahoo!とMicrosoftは、Googleに対して価格ベースでの競争力を高めることができるだろう」と述べている。

 Microsoftが単にBingだけで前進するのと比べると、この提携は多くの点で同社に恩恵をもたらすとみられる。「これで方向性が明確になった。Yahoo!とMicrosoftはともにスケールメリットを享受し、無駄な重複を避けることができる」とスミス氏は話す。

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