「今年もやらなかった」で終わらないためにビジネスマンの不死身力(2/2 ページ)

» 2009年12月12日 00時00分 公開
[竹内義晴,ITmedia]
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求めているものは、きちんと与える

 ここまでで、行動の意思が以前よりも強くなったとしよう。だが、実際に行動する際には、なお踏みとどまってしまうことがある。これはなぜだろうか?

 何か新しく行動をするときに、わたしたちはこれまでの行動を禁止しようとする。資格の勉強のためにテレビを見ない、ダイエットのためにお菓子を食べない――といった具合だ。だがこれまでの行動を禁止してしまうと、今までの行動を余計に維持したくなるものだ。

 筆者は自宅でお酒を飲むことが大好きだが、健康のために何度か禁酒に挑戦したことがある。最初の1〜2日は我慢できるのだが、「ビールを飲んではいけない」と考えれば考えるほど、のどを潤すあの感覚を思い出し、つい冷蔵庫に手が伸びてしまうのだ。自分に強い禁止命令を出せば出すほど、新たな行動の一歩を踏み出しにくくなる。

今までの行動で得られていたものを洗い出す

 立てた目標を達成するためのコツは、「自分が求めているものを、きちんと与えてあげる」ということだ。わたしはこの方法で3カ月間の禁酒を達成できた。

 まずは、これから改善しようと思う今までの行動から、得ていたものを洗い出してみよう。禁酒が目的なら、帰宅後にビールを飲むという行動の裏にある理由を具体的に考えてみるのだ。筆者の場合、おいしさを味わうためということもあったが、それ以外に、仕事に区切りをつけたり、自宅に戻ってきた時の解放感を得たりするためでもあった。また、外で飲むときは、知人と語る楽しさを得るためだった。

その行動の代わりとなるものを探す

 次に、今までの行動の代わりとなるものを探してみる。つまり、今まで得ていたものをすべて禁止するのではなく、区切りをつけたり解放感を味わったりするためのものをビールの代わりに探し、自分に与えてあげるのだ。

 筆者の場合、はじめはビールの代わりに炭酸水や水を飲んでみた。ビールより刺激は少ないものの、帰宅後に飲み干すだけでも、仕事の区切りや解放感につながることが分かった。しかし、まだビールのような爽快感が欲しい。そこで、ノノンアルコールビールやお茶などを試してみた。数種類を飲み比べてみるうちに、数日が過ぎていた。

 その間ビールを飲むことはなく、「飲み物はビールじゃなくても大丈夫ではないか?」という感触を得た。最終的には麦茶がビールの代わりになり、3カ月間の禁酒に成功した。

 行動の代わりを探す上でのポイントは、もう一人の自分を第三者の視点から見つめて、「今までと同じものではないが、望んでいるものに対しては、ほかのものをきちんと与えてあげよう」という気持ちを持つことだ。自分と対話をする習慣をつけることで、次第に自分を上手にコントロールできるようになってくる。

 禁酒に限らず、ほかの行動においても同様に考えることが可能だ。これまで行動することで得ていたものを洗い出し、その代わりとなるものを自分に与える。強い禁止命令は出さずに、無理せずに新しい行動をするためのきっかけ作りを進めてみてほしい。行動による変化が少しでも生まれれば、その成功体験が大きな自信となり、次の行動の原動力になっていくだろう。


 頭で考えているだけでは何も変わらない。何かを変えるには、実際に行動を起こすことが必要だ。はじめの一歩はささいなものかもしれないが、行動すれば必ず何かしらの変化は起こる。年末まであと1カ月を切った今だからこそ、できることを考え、小さな行動から始めてみてはいかがだろうか。

著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)

 竹内義晴

テイクウェーブ代表。自動車メーカー、コンピュータ会社を経て、現在は、経営者・起業家・リーダー層を中心としたビジネスコーチング、人材教育に従事。システムエンジニア時代には、プロジェクトマネジメントにコーチングや神経言語学を生かし、組織活性化を実現。この経験を生かして、クライアントの夢が現実になるよう、コーチングの現場で日々奮闘している。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織作りやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。




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