プライベートクラウドは企業IT刷新の“真打”になるか――楽でセキュアでコスト削減を目指す
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» 2010年03月26日 08時00分 公開

悲しき女子ヘルプデスク物語:食らうど、もといクラウド化するとヘルプデスクも変わる? (3/3)

[鐙貴絵,ITmedia]
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ユーザーへの仲間意識を感じる

わたし 先ほどとは逆に、「なんとかしてー!」って、ちょっとキレぎみの電話かかってくることはありますか?

ヨーコさん キレているっていうより、業務が止まってしまって、せっぱ詰まっているというケースはありますね。そういう時は、早く解決できるよう、がんばってサポートしてまいす。

 きっと、火に油を注がないようなコミュニケーションを心掛けているんだろうな。ヘルプデスクの鑑だ!

わたし “勘違いヘルプ”はありませんか? 例えば、明らかにサポート範囲を超えた内容とか。

トモさん そういえば先日「プリンタが壊れた」というヘルプコールがありました。詳しく聞いたら、ウチのルータがプリンタの近くに置いてあって、そのルータにヘルプデスクの電話番号が書いてあったので、電話してきたみたいですね。

わたし コール先を間違えたってことですね。そういう場合は、“ウチじゃないです”って電話を切っちゃうんですか?

トモさん 当然、業務の範囲を超えているんですけど、ウチのユーザーが困っているのは確かなので、「プリンタの後ろとか横に、プリンタメーカーのヘルプデスクへの連絡先が書いてありませんか?」という感じに、解決のヒントを伝えています。

 そうか。顧客満足度の向上って、こういうちょっとしたことから、積み上げられるんだろうな。

 わたしも確かに社内で、「それってわたしの管轄じゃないよぉ」って思うヘルプを頼まれることもあるんだけど、冷たくできないのは確か。ヘルプデスクのスタッフってどこのヒトでも基本的に世話好きなんだろうな。クライアントにしてみれば丁寧に対応してもらったらうれしいだろうし、わたしもヘルプされる側なら「わたしが間違えたのに親切に対応てくれてうれしい」って思うはずだもの。


わたし 印象に残っているトラブルを教えてください。

トモさん 去年の夏かな。落雷でルータが壊れたって連絡があったんです。そのルータを交換してから1週間くらいでまた、落雷が……ってことがありました。

わたし それは確かに、ユーザーにとっては運が悪いことですね。どのようなアドバイスを?

ヨーコさん ケーブルテレビ回線を経由してネットワークを引いているユーザーだったので、モデムも落雷被害にあっていたんです。そこでおそらく、モデムから過電流が来ているんじゃないか? と当たりを付け、避雷器を接続するようアドバイスしました。

わたし なるほどっ! ユーザーの導入時の状況や構成情報が分かっていれば、アドバイスしやすいですね。そのあたりの情報は、担当営業の人からもらうんですか?

ヨーコさん 営業も開発も、そしてわたしたちサポートチームも同じフロアで業務をしています。役割を通じたコミュニケーションが取れるようになっていて、何かあればすぐに情報を共有できるんです。

トモさん “ヘルプwiki”も作りましたしね。

わたし ヘルプwiki??

トモさん もともとインシデント管理ツールは使っていましたが、お役立ち技術情報をメンバーで共有するツールがなかったんです。ヘルプする側からみると、問い合わせをよく受ける技術仕様や対応手順などはすぐに確認したい。そこで、必要な情報をメンバー各々が見たり書き込んだりできるwikiを立ち上げました。

わたし ほおっ! それって、スタッフ誰でも見られるんですか?

トモさん はい。運用事例とか、よくある対応例が、技術の観点とサポートの観点それぞれについて、書き込まれています。担当者がいなくても、あるいはヘルプデスクに今日から配属になったようなスタッフでも、このwikiさえ見れば大丈夫って状態にしてあります。

ヨーコさん ヘルプwikiがあれば、ユーザーを“たらい回し”にすることもありません。それに、わたしたちヘルプスタッフだけじゃなく、技術や営業の人もよく見ているようですよ。

トモさん 当たり前のようですが、今、起きているインシデントとか、ユーザーの問題とか、そういうのが解決するまで、つまり“これで大丈夫です!”と自信を持って伝えられるまで、徹底的にユーザーと向き合います。

 ヘルプデスクのスタッフが必要とする情報が1つにまとまっていて、すぐに見られる仕組みになっているのは、サービスを受ける側としては本当に助かる。お役立ち技術情報とサポート情報が”ひとまとまり”になるような仕組み、わたしたちのところでも作ろうかしら……って、そんなこと提案したら、言いだしっぺが作ることになるんだろうな。ああ、また仕事が増えそうだ……。


 今回、話を聞いて感じたのは、彼らがユーザーと向き合っている間(つまりサポートしている間)は、仕事だからやっているというより、「仲間が困っているから何とかしなくちゃ!」という気持ちを持っているのかな、ということ。きっと、そこまでユーザーに思い入れを持てることこそが、ヘルプデスクにとっての“プロ意識”なんだろう。

 それに“クラウド事業者”っていっても、SaaS、ASPのようなサービスだけ提供する事業者もあれば、サーバなどのインフラをホスティングさせるだけ、という事業者もある。その場合、トラブルが起こると、わたしのようなユーザー側の担当者が原因を切り分けなくちゃいけないけれど、トモさんとヨーコさんのような「サービスも、インフラも任せて!」という事業者のヘルプデスク担当者を味方にすれば、切り分けから解決まで対応してくれる。

 う〜ん、「メールが使えないじゃないか!」と社内のヒトから怒られながら自分で問題を切り分けるなんて、想像しただけでも大変だ。いっそのことプロに任せちゃう、っていうのもアリよね。

 ……という内容で翌日から、トモさんやヨーコさんに聞いた話を参考に、Aさんに提出する報告書の作成に取り掛かったわたし……だけど、Wordに“くらうど”と入力して変換すると、「蔵独活」と表示された。うーん。まあ、確かに“くらうど”って、アプリケーションがたくさんある蔵みたいなものよね、なんて誤変換にも納得してしまう。いやいや、このまま提出したら怒られちゃうって!

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