Google、「Google Editions」で電子書籍販売に参入

Googleが、AmazonやAppleと競合する新たな電子書籍ストアを今夏にも開設し、スキャンした書籍の一部を販売する計画だ。

» 2010年05月06日 15時10分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米Googleは6月に電子書籍の販売を開始する計画だ。米Amazonや米Appleなどに対抗して、デジタルコンテンツから収益を得るのが狙いだ。

 Googleでは、これまでにスキャンした1200万冊余りの書籍の一部を「Google Editions」というWebストアでオンライン販売する予定だ。同ストアは、Amazonの電子書籍リーダーKindleおよびAppleのタブレットコンピュータiPadを通じて販売されるオンライン書籍と競合することになる。

 Amazonは、これまでに300万台以上のKindleを販売した。一方Appleは、発売から1カ月足らずで100万台のiPadを出荷した

 これらのデバイスでは、DRM(デジタル著作権管理)ソフトウェアを通じて電子書籍を縛り付けているのに対し、Google Editionsでは、デスクトップやノートPCに加え、フルWebブラウザを搭載したモバイル端末などほとんどすべてのデバイス上で電子書籍を読むことができる。

 このアプローチは、オープンなコンテンツ配布モデルを望むユーザーにアピールすると思われるが、Googleがこの事業でどういったマーケティング戦略を展開するかは不明だ。Googleは1月から、スマートフォン「Nexus One」をWebストア上で販売しているが、販売台数は25万〜30万台にとどまっている。

 Wall Street Journalによると、Googleの戦略パートナー開発担当マネジャー、クリス・パルマ氏は5月4日、出版業界のイベントで、Google Editionsを6月末もしくは7月に立ち上げる予定だと述べた。

 Googleの広報担当者は米eWEEKの取材に対して、パルマ氏の発表を認めながらも、4月26日発行のThe New Yorker誌の記事で報じられたGoogle Books担当エンジニアのダン・クランシー氏のコメントを指摘した。

 Google Editionsの開設時期について「今年半ば」という見通しを示したクランシー氏によると、Google Editionsではパブリッシャーが書籍の価格を設定し、ユーザーはGoogleブック検索で書籍を検索してから購入することができる。

 さらにGoogleは、書店でも電子書籍を販売し、収益の大半を書店が確保できるようにする計画だ。

 「これは非常にオープンなエコシステムであり、零細書店でも将来のデジタル書籍の世界に参加することができる」とクランシー氏はThe New Yorkerの記者ケン・オーレッタ氏に語った。「われわれは広範な物理的小売店の参入を歓迎する。一方、ほかの大多数のプレイヤーは競争を制限しようと考えている。市場を支配したいからだ」

 Google EditionsはGoogleブック検索とは別物だ。Googleブック検索は、同社が著作権者および出版社との合意に基づいて書籍をデジタル化するという取り組みで、これには何百万冊に上る孤児作品(著作者が不明あるいは見つからない書籍)も含まれる。

 Googleブック検索では、ユーザーがこれらの書籍を検索し、料金を支払って利用できる。著作権者と出版社は売り上げの63%を受け取り、Googleが残りの37%を受け取る。

 一方、米司法省はGoogleブック検索をめぐる訴訟を担当している米連邦地裁に対して和解案に異論を唱えたことで、この問題が年内に法廷に差し戻されることになった。

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