陸上自衛隊はスマートデバイスの活用でリアルタイムに災害情報の共有を実現させる富士通のシステムを採用した。
人命救助を左右する情報をもっとリアルタイムに――。陸上自衛隊は新たな情報共有の手段を導入し、より迅速かつ適切な救助活動の実現を目指す。
記憶に新しい東日本大震災、これから起こると言われている南海トラフ巨大地震や首都直下型地震。近年、大規模な被害が発生する自然災害が顕著になっており、陸上自衛隊は毎年500件以上の災害派遣活動を実施している。こうした背景から、防衛省陸上自衛隊15旅団(沖縄県に所在する防衛警備、災害派遣を担任する部隊)はリアルタイムな情報共有を実現する富士通の「災害救助活動支援サービス」を導入した。救助活動の効率を高めることを目的に災害発生時の即応部隊(初動部隊)の情報収集、および指揮所との連絡手段として活用する。
本サービスは、リアルタイムに災害状況を地図上でマッピングする機能と、地図上で連絡を取りたい隊員とメッセージのやり取りができるコミュニケーション機能を提供する。
隊員はスマートフォンを使い、あらゆる場所で本サービスを使えることから、スマートフォンで撮影した災害現場の写真や入力した状況報告などを位置情報とともにデータセンターに集約できる。隊員用のアプリは現場での利便性を考え、できるだけシンプルに共有できるユーザーインタフェースを採用。データセンターに集約された情報は、即座に地図上に表示され、指揮所の指揮官、現場の隊員の間で、広範囲の現場情報をリアルタイムで共有できる。
また、地図上には隊員の居場所が表示され、連絡をとりたい隊員を選ぶだけでその隊員へメッセージを送ることも可能だ。指揮官は救助が必要な現場に最も近い隊員への指示が容易となる。より迅速で効果的な災害救助活動を推進するのが狙いだ。
このシステムは、7月24日に第15旅団が行った沖縄県内の自治体、警察、消防など、約80機関が参加する大規模災害対処訓練で使われた。本サービスが現場の情報共有と迅速な被災地支援の対応につながる効果が確認されたという。
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