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魅力を増した高級コンパクトビデオカメラ――ソニー「HDR-TG5V」レビュー(2/3 ページ)

» 2009年05月07日 08時00分 公開
[都築航一,ITmedia]

極限まで絞られたボタン、新メニューによる使い勝手も良好

photo 撮影時のスタイル。右親指でズームリング/撮影ボタンを操作するだけ。撮影ボタン半押しで動画/静止画の撮影モードを切り替えられる

 写真を見ると分かるとおり、HDR-TG5Vには、通常のビデオカメラにありがちなボタンやスイッチの類がほとんど見当たらない。わずかに、動画および静止画の録画ボタンとズームレバーがさりげなく背面に並んでいるのみだ。

 これは、タッチパネルで多くの操作を行なう仕組みのため、必要なボタンの数がもともと少ないのに加えて、メイン撮影ボタンの半押しで動画・静止画のモード切り替えを行うほか、液晶モニターの開閉と電源オン・オフを完全連動させるなど、ユーザーの操作とカメラの動作との結びつきを見直した結果だろう。スッキリしたデザインに貢献しているのはもちろん、誤操作を防ぎつつ、ムダな操作をなくすという使い勝手の向上にもプラスになっている。この優れた操作性も本製品の魅力の1つといえる。

 なお、本製品はカメラ任せでの撮影が主体という性格のためか、タッチパネルで操作するメニュー画面も一新されたことも見逃せない(使用頻度は少ないかもしれないが)。中でも、全メニュー項目の中から必要なものを6つまで登録でき、すばやい操作を実現した「マイメニュー」は、HDR-XR500V/520Vなど上位機種にもほしい機能だ。一方、メインメニューは全項目が縦1列に並べられ、スクロール表示される仕組みへと改められている。

photophoto 利用頻度の高い項目を登録できる「マイメニュー」(写真=左)、再生時のサムネイル(写真=右)

ビデオスナップ機としては十分以上の画質を楽しめる

 実際に外へ持ち出して撮影してみると、日中の屋外など十分な照度が確保された環境では、色再現、精細さともに満足のいく描写。最高画質のFHモードでも、ビットレートの上限が約16Mbpsにとどまるためか、動きが激しい場面ではディテールが溶けてしまうこともあるが、なにより色の乗りが非常によく、鮮やかでしかも安定した映像が堪能できた。

 ただ、オートフォーカスの動作は相変わらず安定してはいるものの、必ずしも意図どおりにならないことがあるのは惜しい。中央に被写体を置いてもピントを合わせてくれないことがあった。

 もちろん、人物の顔が被写体であれば、顔検出機能によって、明るさの設定も含めて自動でとらえてくれるうえ、被写体が笑顔になると静止画が同時記録される機能まで備えているので、カメラ任せでも心配ない。野鳥や野の花などを撮る場合は、画面で触れたポイントにピントや明るさを自動調整する「スポット測光フォーカス」をマイメニューに登録し、積極的に活用するといいだろう。

 ちなみに、液晶モニターは2.7型/約21.1万画素の「クリアフォト液晶プラス」で、スペック上は飛びぬけて高精細というわけではないが、細部までしっかり確認でき、晴天下での視認性も良好だった。

 実撮影時間が50分にとどまるバッテリ駆動時間には多少の気配りが必要になるものの、HDR-TG5Vは、日常のいろんな場面へ気がねなく持ち出したくなるだけの魅力を備えたHDビデオカメラだ。HDR-TG1で経験ずみのユーザーにはいうまでもないことだが、ビデオスナップをフルHDで撮り歩いてみると、見慣れたハズの身の回りの風景も少し違って見えてくる。また、日常的に持ち出してこそ真価を発揮できる製品というのが、試用を終えての率直な感想だ。

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