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最新Blu-ray Discレコーダー比較 長時間録画モードはどこまで“使える”?バイヤーズガイド(2/2 ページ)

» 2009年10月23日 17時36分 公開
[ 野村ケンジ____芹澤隆徳,ITmedia]
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MPEG-4 AVCによる長時間録画の画質

 基本的なチェック項目は「解像度感」「圧縮ノイズ」「動画描写」の3つ。他に色合いの変化も気にして試聴したが、放送波、とくに地デジレベルの映像では目立った問題のある製品は1つもなかったため、今回はそれほど触れていない。

 また録画した番組は自機で再生するため、画質は再生機能の良し悪しにも左右される。つまり、各モードのリポートは、録再トータルの製品評価と考えてほしい。保存用として活用できそうなモードや、一度見たら消してしまうタイムシフト利用だったら不満がなさそうなモードも選び出したので、製品選びの参考にしていただきたい。

 とまあ、前書きとしてちょっとお堅く規定的なことをいわせてもらったが、要はどれだけきれいな長時間録画ができるか、という一言に尽きる。特にパナソニックとソニーは実売20万円を超える最上位機種。それなりの映像を見せてくれないと納得できない、というのは皆さんも同意見のはず。また筆者自身、保存用としては圧縮なしのダイレクトモードしか利用しないタイプのため、多少シビアな評価になってしまうことはあらかじめご了承いただきたい。

photophotophoto 左からソニー「BDZ-EX200」、パナソニック「DMR-BW970」、三菱電機「DVR-BZ130」

三菱電機「DVR-BZ130」

photo 録画予約画面。録画モード(画質)と録画時間の関係が直感的に分かる

 さて、最初の製品は三菱電機の「DVR-BZ130」。長時間録画に関しては最大5.5倍と、ほかの2社に比べると控えめだ。ちなみに用意されているモードは、2倍録画のAF、3倍録画のAN、5.5倍録画のAE(5倍と5.5倍のどちらかが選択できる)という3タイプ。

 これは再生エンジンの影響があるかもしれないが、どのモードもエッジを変に強調させない、自然な絵作りを心がけている様子。エッジのにじみや圧縮ノイズもそれほど感じられない。絵に強さやインパクトはないものの、これはこれで悪くない。ただし精細感にもの足りなさを感じるのも事実。2倍のAFモードだとそれほど気にならないが、AN、AEと圧縮率が上がるにつれて、ハイビジョンらしからぬ絵のぼんやりさが無視できなくなってくる。

 特に最長のAEモードでは、まるでSD放送のような、エッジ感のない映像になってしまうのはつらいところ。例えば海のさざ波のようなとても細やかな映像の場合、ただ影が揺れているだけの絵になってしまうため、リアリティーがとても弱い。映画や海外ドラマ、特にBS放送などを保存用として録画する場合は、非圧縮のダイレクトモードが無難だ。利用してもAFモードまでだろう。

 地デジのタイムシフト利用であれば、3倍のANモードまでなんとか使えそう。最長のAEモードは、バラエティ番組などあまり映像のクオリティーを重視しない番組にとどめたほうが良さそうだ。ちなみにこのボケ感は、再生側の影響も少なからずあるだろうから、そのあたりは上位モデルでレベルアップされていることを大いに期待したい。

パナソニック「DMR-BW970」

 続いて試聴したのが、パナソニック「DIGA」シリーズの最上位機種、「DMR-BW970」。画質、音質ともに単体高級プレーヤーに肉薄するクオリティーを誇るプレミアムモデルだ。長時間録画で用意されているモードは、HG、HX、HE、HL、HMの5つ。このうち最も圧縮率の高いHMは、ダイレクトモードに比べて約8倍、BD-R DL(50Gバイト)1枚に約35時間ものハイビジョン録画が可能になっている。

photophoto 新しいDIGAシリーズはHDD内ダビングをサポート。ダビングしたもので録画モードを変換すれば、もとの録画番組はそのままで別の録画モードの画質を

 地デジのドラマを各モードで録画して映像をチェックしてみたが、まず最初に驚いたのが低圧縮側3モードのレベルの高さだ。「解像度感」「圧縮ノイズ」ともに別次元のレベルに達している。なかでも3倍、HXモードの画質向上は顕著で、注意して比較しなければ気が付かないくらい、ダイレクト録画と遜色のないクオリティーを保持している。

 特にエッジの描き方が、クッキリとしていながらも破たんのない自然さを持ち合わせている点が素晴らしい。筆者も「DMR-BW800」という3世代前のDIGAを所有しているが、こちらのHXモードとは別次元。映画保存用としても充分に活用できそうだ。

 いっぽう圧縮率の高いHL、HMモードでは、解像度感の低下と激しい動きに対する追従の弱さが気になって来るものの、エッジ部分の圧縮ノイズが悪目立ちしたり、絵が破たんしたりすることが少ないため、安心して見られる。個人的にこの2つはあまり使いたいとは思わないが、旧モデルでHEモードを多用している人であれば、HLでも充分納得できるレベルに達したと思う。バラエティー番組などであればHLモードでもさほど不満に感じないかもしれない。

 結論としては、保存用としてはHXモード以上、タイムシフト用としてはHLモード(僕のようなダイレクトモード主義の人でもHE)以上であれば充分満足することができるだろう。とかく再生性能に注目が集まりがちのDMR-BW970だが、レコーダーとしても一級品であることは間違いはない。

ソニー「BDZ-EX200」

 最後に視聴したのは、ソニーの新モデル「BDZ-EX200」。こちらもパナソニック同様、最上位機種となっている。

 長時間録画モードとして用意されているのは、XR、XSR、SR、LSR、LR、ERの6タイプ。このうちERはSD解像度となるため、ハイビジョン録画要として用意されているのはLRまでの5モードとなる。ちなみに各モードの内訳はというと、画質優先で最低圧縮のXRモードは約1.6倍、続くXSRモードは2倍、一般的によく使われている3倍はSRモードが担当している。最長のLRモードはパナソニック同様8倍の圧縮率となっており、できるだけ長時間録画をしたいという人にも不満は感じないはずだ。

photophoto 録画予約画面(左)とデフォルトの録画モードを選択する画面(右)。録画予約時にも選択中の録画モードについて、SD/HDの区別やビットレートまで表示される

 こちらも地デジ放送のドラマを中心に、録画画質をチェックした。全モードともになかなかのハイレベルさを感じされてくれたのだが、特に印象的だったのは高圧縮のLSRモード。圧縮率が高まるにつれ、映像の細やかさが徐々に削られていくのだが、その差がとても少なく、LSRモードまでなら充分鑑賞できるのだ。

 6倍に相当するモードでフルHDならではの精細感が感じられたのは、BDZ-EX200が初めて。もともとソニーのレコーダーは、エッジの処理が上手く精細感の良い映像を楽しませてくれる傾向にあるが、ここまでの圧縮率であってもノイズをいっさい感じさせず、動きもリアルさを保持したままの製品は初だ。地デジであれば、タイムシフト利用はもちろん、人によっては保存用としても納得できることだろう。

 ここまで高圧縮モードの出来がよいと、逆に低圧縮モードが不必要になってしまうかも。特にXRモードは、ダイレクトとほとんど変わらないクオリティーの高さを持ち合わせているものの、圧縮率が低いので、利用する場面は少ないかもしれない(BSデジタル放送の映画保存用などにはいい)。BDZ-EX200に関してはSRとLSRの2モードを多用することになりそうだ。

 ちなみに最高圧縮のLRモードになると、解像度感がぐっと落ちてしまう。SDとまではいかないが、720pにダウンコンバートされた映像を見ているかのよう。あまり使いたいとは思わない。

 結論としては、映画などの保存用にはSR、バラエティや国内ドラマなどはLSRで充分といえる。もちろんこだわり派は、保存用にダイレクトモードを利用することになるのだろうが、そういう人であってもタイムシフト利用としてはLSRでも満足できるクオリティーを持ち合わせている。現状ではトップレベルといっていい。

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