![]() (C)2009 業田良家/小学館/『空気人形』製作委員会 |
韓国の人気女優、ペ・ドゥナが鮮烈なオールヌードを披露して話題となったファンタジー「空気人形」が3月26日にDVD化される。
DVDは通常版(3990円)と豪華版(6300円)の2種類。通常版の特典は予告編のみ。豪華版にはメイキングと予告編、さらにライナーノートを封入している。なお、今のところBD発売のアナウンスはされていない。
古びたアパートで中年の持ち主と共に暮らすリアルダッチワイフ(空気人形)が、ある日、ゆっくりと動き出し、初めて街へと飛び出す。彼女の目には何もかもが新鮮に映る。何気なく入ったレンタルビデオ店でバイトをすることになり、同じくバイトの純一と言葉を交わすように。彼女は、純一が心に自分と同じ空っぽな思いを抱えていることに気づき、日に日に惹かれていくが……。
2000年に発表された業田良家の短編集「ゴーダ哲学堂」の中の1編、「空気人形」。わずか20ページのこの作品に心動かされた是枝裕和監督(「誰も知らない」「歩いても歩いても」)が映画化を決意。オリジナル脚本にこだわり続けてきた監督が「これだけは別」とほれ込んで原作をふくらませたというから、まさに渾身の1本。
ビジュアルや物語から男のためのファンタジーか、と思いきや、そこは是枝作品、マジメです。心を持った純粋な空気人形の目を通して描かれる人間の世界。おかしくて、かなしくて、他愛もない世界。そこには都会の片隅で心に病と孤独を抱えながら生きる人々の姿が。そんな今を生きる人間の空虚さを描かせたら天下一品の是枝監督、繊細な映像で見事に映像化しています。
切ないテーマとは裏腹に、空気人形が好きな男性に息を吹き込まれるシーンや空気を抜かれるシーンなどエロ方面はやたらと生々しい。会話も妙にリアルで、思わず見入ってしまうほど。
空気人形を演じるのは「リンダ リンダ リンダ」「グエムル 漢江の怪物」のペ・ドゥナ。ほぼ全裸かメイド服。無垢な表情といい、セックスシーンのうつろさといい、ここまでの見事な脱ぎっぷりと演技ができる女優はおそらく今の日本にはいないのではないでしょうか。それほど素晴らしい熱演です。その人形を彼女とみなして暮らす中年男を板尾創路、空気人形が恋をするビデオ店員をARATA、空気人形師をオダギリジョーが演じている。
是枝監督=アート系でしょ、と敬遠したらもったいない。空気を抜かれてペッシャンコになったペ・ドゥナのエロさに萌えるもよし、人形以上に空洞化した人間社会を考えるもよし、とにかく一度は見てほしい、必見のファンタジー・ドラマ。
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