クリプシュはエントリーからハイエンドまで、数多くのイヤフォンをラインアップしているが、新たに発売された「S4A」はちょうど真ん中、ミドルクラスに位置する製品となっている。バリエーションとしても、スタンダードモデルの「S4」や、iPhone/iPod用コントローラーつきの「S4i」など、豊富に揃えられているのも特長だ。
8.5ミリ口径のダイナミック型ドライバーは、クリプシュ独自の「dual-magnet micro-speaker」技術を搭載することで、高精細さと迫力ある低音を両立。また独自の楕円形イヤーピースにより、長時間の使用でも疲れ知らずの快適さと、高い遮音性を実現している。さらにABS製の筐体は、デザイン面だけでなく、耐久性や遮音性を高めるためクローム処理が施されている。ボディーカラーはブラックのみとなっている。
コントロール部は右耳側で、マイクを内蔵する1ボタンタイプ。通話時には受話/消音/リダイヤルに、音楽再生時には再生/停止/音量調節/早送り/巻き戻し、そのほかボイスサーチやボイスコマンドにも対応する、Android用としては珍しいほどの多機能さを持ち合わせている。
ただし、多機能な分互換性が低いのが弱点だ。今回のテストで使ったAQUOS PHONE「SH-12C」は非対応製品だったため、受話/音楽再開程度しか行えなかった。ただし「GALAXY SII」や「SH-13C」など、対応スマートフォンを所有している人にとって、この多機能さはありがたいかぎり。今後の対応モデル追加に期待したい。
音のキレが良いため、グループ感が高く、音楽が躍動するかのような元気な印象だ。ボーカルやメイン楽器がいつもより前にせり出して、ノリノリの演奏を聴かせてくれるので、聴いていてとても楽しい。解像度感やSNは充分以上のレベル、低音はそれなりに豊かな量感を持つが、中域をマスクすることはない。なかなかに巧みな聴かせ方をしてくれる製品だ。試聴時にはiPhoneモデル「S4i」とも比較したが、音色傾向は全く同じ。「S4A」のほうが少々堅めの音で、解像度感も微妙に高い印象を持ったが、それは試聴機がほぼ新品だったことに由来するものと思われる。使い続けるうちに、ほとんど変わらなくなるはずだ。
音質評価 | 対応スマートフォン | |
---|---|---|
解像度 | ★★★★☆ | GALAXY SII、AQUOS PHONE SH-13Cなど |
SN | ★★★☆☆ | |
ダイナミックレンジ | ★★★☆☆ | |
帯域バランス | ★★★★☆ | |
グルーブ感(キレのよさ) | ★★★★☆ | |
現在のところ、Android用をうたう高級イヤフォンの代表例は今回紹介した2つくらい。まだまだその数は少ないので、今後の充実に期待したいところだ。ただし、もう少し価格帯を下げ、エントリークラスの製品まで含めると、だいぶその数は増してくる。後編ではそのあたりを紹介しよう。
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