いまやスマートフォンは携帯電話市場の主流になりそうな勢いで浸透しつつある。これがつい3〜4年前までは、ビジネスマンやガジェット好きだけが注目するマニアックなアイテムと認識されていたのだから、驚くべき変化といえる。もちろんこれはiPhoneの登場によってもたらされた潮流であることは間違いない。そして現在はAndroidが躍進し始めているのは皆さんご承知のとおりだ。
スマートフォンがここまでメジャーな存在になったのは、本来のガジェット的な機能性に加え、アプリなどの拡張性や、TwitterやFacebookなどの書き込みにも活用できるコミュニケーションツールとしての手軽さも重要なポイントだろう。要するに、とても便利て、とても手軽だったということだ。
しかしながら、iPhoneで大きく花開いたスマートフォンの原点、音楽やビデオなど、マルチメディア再生機能に関しては、いまひとつ足踏みしている印象が強いのも確かだ。なかでも音質に関しては、逆に年々イメージが悪くなっているほど。実際にiPhoneで音楽を聴いている人をどのくらいいるのか調べてみると思った以上に少なく、音楽好きの人や、通勤時に音楽を聴きたいという人は、別にiPodを持っていたりする。もちろんこれは、単に音質を気にしているだけでなく、バッテリーの持続時間や使い勝手の面も含めて、総合的に「プレーヤーとして常用する製品ではない」という認識が広まっていることは確かだ。しかし、せっかくプレーヤーとしての機能があるのに、それを使わない手はない。そこで今回は、機能的にも音質的にも充分納得できる、コントローラー/マイク付カナル型イヤフォンを紹介していこうと思う。
実際、iPhone用のカナル型イヤフォンは製品数がかなり充実してきている。機能的にもApple単独によるブレのない先導によって、不満を覚えるものは少なくなってきている。そこで今回の記事では、iPhone用にターゲットを絞って紹介させていただこうと思う。もう一方の主流であるAndroid用に関しては、残念ながらまだトレンドがスタートしたばかりの印象で、「選択」できるほどの製品群は出そろっていない。ゆえに、今後機会を改めて紹介することにしたい。
ちなみにiPhoneとAndroidでは、リモコンに関するコントロール信号が異なるようで、両者のリモコン付イヤフォンには互換性がない。iPhone用の製品をAndroidで使おうとすると、コントロールのまったく効かない(マイクもうまく機能しない)ただのカナル型イヤフォンになってしまうので、注意してほしい。
iPhone/iPodのコントローラーは、1ボタン式、または3ボタン式が多い。なかでも数多く見られるのが3ボタン式だ。そこで、3ボタン式のコントローラーでどんな操作ができるのか、ここで簡単に紹介しよう。
ボタン | 機能 |
---|---|
+ボタン | 音量+ |
メインボタン | 音楽再生時:再生/一時停止/曲送り(2回押し)/曲戻し(3回押し)/音声コントロールメニュー(長押し) 通話時:受話/通話を切る |
−ボタン | 音量− |
このように、主な操作はメインボタンで行うため、+/−ボタンがない1ボタン式でもそれほど不足感はない。
「ダイナミックでキレの良いサウンドが魅力」
エントリーモデルから上級クラスまで、幅広いラインアップをそろえるフィリップスのミドルクラス製品。デザイン的にはSHE9500のスタイルを受け継いでいる傾向が見られるが、価格的にはSHE9550や、名機として絶大な人気を得ているSHE9700の後継といえる存在だ。
指向性を持つ「アコースティックパイプ」や人間工学に基づいた筐体デザインなど、装着感や遮音効果にかなりのこだわりを持つ点は、フィリップスならではのアピールポイントといえるだろう。また「ターボバス」と名づけられたエアベントによって、低域の量感も充分に確保されている。
コントロール部は受話/再生オンオフを兼ねたボタンに加え、スライド式のボリュームが備わる。そのボリュームは機械式のため、iPhone本体(のソフトウェアボリューム)とは非連動となっている。なおマイクはリモコン部と別パーツで用意されている。
ダイナミックでキレの良いサウンド。中域は少々薄いが、高域にかけてのそろいが良く、声がはっきりと聴こえる。高域に多少の歪みがあり、ハイハットの音は少々荒れているが、耳障りな感じはあまりない。この価格帯としては充分なクオリティだといえる。
項目 | ポイント |
---|---|
解像度 | ★★☆☆☆ |
S/N | ★★★☆☆ |
ダイナミックレンジ | ★★★☆☆ |
帯域バランス | ★★★☆☆ |
グルーブ感(キレのよさ) | ★★★★☆ |
「迫力とともにクォリティもグレードアップ」
しっかりとしたボリュームを持ちながらも、質感の高い低域が好評を博しているオーディオテクニカ「ソリッドベース」システム搭載機の中間モデルが新たに生まれ変わった。
好みに合わせて2段階に調整可能なイヤーピース調整機能はそのままに、ダイナミック型ドライバーユニットの稼働範囲の大型化や、サブチャンバー(空気室)の改変などにより、さらにパワフルな低域を実現しているという。
ボディカラーはブラックとブラックレッド(ケーブルと本体の一部が赤)、ホワイトの3色が設定されている。
コントロール部はボリューム調整を行う+−キーの間に受話/再生コントロールを配した3ボタン方式。+−キーがシーソーのように角度がついているため、操作感はなかなか良好だった。
低域の量感は先代よりも確かに増したが、それよりも解像度の向上に好感を抱いた。ブーストの効いたダイナミックサウンドでありながら、けっしてドンシャリにはならず、音が細部までよく見通せる。重心が少し高域より、いわゆるハイ上がりなバランスだが、高域への伸びがスムーズなこともあって、違和感はない。コストパフォーマンスの高さという面でも、注目株といえるだろう。
項目 | ポイント |
---|---|
解像度 | ★★★☆☆ |
S/N | ★★★☆☆ |
ダイナミックレンジ | ★★★★☆ |
帯域バランス | ★★★☆☆ |
グルーブ感(キレのよさ) | ★★★★☆ |
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