シンプルなつくりとするメリットもあり、価格以上の満足度が得られた従来モデルのMusic Streamer II。対して、ほぼ倍の価格帯となる今回のMusic Streamer II+はそれに見合うクオリティがあるだろうか。
一聴してS/N感の大きな差が感じられる。ゆがみや変色のないストレートなサウンド傾向はそのままだが、ノイズレベルが格段に低く、演奏の細かなニュアンスまで耳に届くようになったため、表現力が大きく違う。ピアノの音色は、デッドな響きのスタジオから良質なホールへと場所を移したかのように音の広がり感が異なって聞こえるようになる。そのため演奏がとてもいきいきと、空間的にもストレスなく広がってくれる。
さらに、女性ヴォーカルもなかなか味のある歌声を披露してくれる。芯のしっかりした、エコー成分が少なめの音色傾向だが、過渡特性がよい(不要なピークやディップが少ない)ためだろう、声にしっかりとした厚みと響きの美しさが感じられる。おかげで数段リアルな、より印象的な歌声を楽しむことができた。
さすがはHRTというべきだろう。Music Streamer II+は、確かにMusic Streamer IIより上質な、価格に見合うサウンドクオリティと評価できる非常にレベルの高い製品だ。もちろん衝動買いできるほど安価ではないかもしれないが、「PCで上質な音楽をじっくり楽しみたい。もちろん構成はできるだけシンプルに」という“こだわりユーザー”の有力な購入候補になるはずだ。
Music Streamerシリーズには、今回試聴したMusic Streamer II+が兄貴分だとすれば、弟分に相当するモデル「HeadStreamer」も登場する。今回はHeadStreamerも一緒に試聴した。
Head Streamerは、出力端子にアナログRCAでなくヘッドフォン端子を備えるUSB DAC搭載ヘッドフォンアンプだ。ボディがかなりコンパクトになり、机上のノートPC+ヘッドフォンで取り回しやすいサイズ感である。それ以外の、96kHz/24ビットまでのサンプリング周波数/ビット数、USBバスパワー動作対応、アシンクロナス(非同期)動作など、USB端子はMini USBとなるが基本構成はほぼ変わらない。
そのサウンドクオリティは、今回の上位モデルMusic Streamer II+から標準モデルのMusic Streamer II、その下降線の延長にあるイメージだ。S/N感はやや下がるものの、ストレートで自然なサウンド傾向は健在。そのため、音の変調が気になることなく素直に演奏を楽しめる。
価格は、Music Streamer II+に対してより手の届きやすい実売2万7300円前後と予想される。「Music Streamerシリーズでより小型のモデルを。音質は妥協したくないが、より手にしやすい価格帯でヘッドフォンをそのまま使えるモデルを」という人にお勧めだ。
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