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お手ごろ価格で“響きが心地よい”サウンド、真空管で遊んでもヨシ──Trends Audio「PA-10」野村ケンジのぶらんにゅ〜PCオーディオ Review(2/2 ページ)

» 2012年02月22日 09時00分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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スピーディーでキレのよいサウンド、真空管交換でカスタマイズしてもヨシ

 本機は小型ボディのため、デスクトップ上で扱いやすいサイズ感だ。ボリュームとヘッドフォン端子が前面パネルにあるのはいいが、それ以外によく使う電源スイッチと入力切り替えスイッチが背面にあるのは少し使い勝手が悪い。操作系はできれば前面に集中してほしかった。

photophoto 前面はボリュームとヘッドフォン出力、背面は電源/入力切り替えスイッチ、RCA入力×2系統(1つは、PC/iPod接続向けのハイゲイン仕様となっている)、RCA出力×1系統を備える

 ボリュームは、ヘッドフォン出力のほか背面にあるRCA出力もコントロールできる。別掲予定の同社製パワーアンプ「TA-10」にもボリュームが付いているのでRCA出力ではパスするのかと思ったが、意外とそうではなかった。これは、組み合わせで使ってもいいが、単体での利便性も想定したためだろう。ついでに、ヘッドフォン出力にプラグを接続してもリアのRCA出力は音声が出力されたままとなる。これは便利か不便か、使い方に応じて評価は分かれそうだ。

 では、聴いてみよう。

 まず、ハイブリッドだからということもあるのだろう、真空管という単語からイメージする音とはかなり方向が異なる、スピーディーでキレのよいサウンドだ。ヴォーカルはとてもハキハキと、特に女性ヴォーカルは少しドライめ、いつもよりハスキーな印象である。ピアノの音色も印象は変わらず、タッチがとても力強い。エコー成分が豊富なこともあって、響きがとても心地よい。このあたりにわざわざ真空管を使った意義が見て取れる。

 一方、ダイナミックレンジの幅広さにおいては真空管がネックとなってしまった印象を受けた。スピーディでキレのよいサウンド感だけに、抑揚感がいつも通りに表現しきれていないと感じる部分がやたらと気にかかる。このあたりは真空管を別のものに差し替えると改善されそう……と思われる。SNの良好な個体や、ダイナミックな表現が得意なヴィンテージ管などと相性がよいかもしれない。

 PA-10は、そのサイズ感やデザイン性とともに、自宅のPC、あるいはポータブルオーディオプレーヤーで聞く音楽を「よりよい音で楽しみたい」人にかなり向いている。ともあれ、真空管によるちょっとしたカスタマイズでこういった“音が変わる”楽しみ方、なかなかおもしろそうでしょう。自作PCファンなら分かってもらえるであろうこの感覚、PCオーディオにもぜひチャレンジしてみてほしい。

photophoto 今回の試聴に用いた、ブックシェルフスピーカーのELAC「BS52.2」とモニターヘッドフォンのAKG「Q701」
音質評価  
解像度感 (粗い−−−○−きめ細かい)
空間表現 (ナロー−−−○−ワイド)
帯域バランス (低域強調−−○−−フラット)
音色傾向 (迫力重視−○−−−質感重視)


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