もう1つの大きな特長が、「Wireless Direct」だろう。通常、AirPlayなどに対応したワイヤレススピーカーを設置するときは、宅内の無線LANに加え、アクセスポイント経由でデータを送受信する。しかし、すべての家に無線LANルータが設置されているわけではないため、スマートモバイルオーディオとスマートフォンなどが1対1で無線接続する独自仕様、Wireless Directを盛り込んだ。
スマホやPCで無線LANを検索すると「Wireless Direct ××」といったSSIDが見え、1台の端末に限ってパスワードなしで接続できる。「パスワードの煩わしさをなくすため、あえてセキュリティーを外しました。ただし、同時に接続できるのは1台のみ。2台めが接続しようとしても、1台目から接続を切断するか、1台目が無線LANの圏外に出るかしないと接続できません」(同氏)。
同様に1対1で接続する技術としてWi-Fiアライアンスが策定した「Wi-Fi Direct」もあるが、Wi-Fi Directはサーバ側(BDレコーダーやスマホなど)がアクセスポイント代わりになるのに対し、Wireless Directではクライアント(スマートモバイルオーディオ)がアクセスポイントになる。つまり、仮に不正に接続されても「音楽を再生する」以外のことはできない。この仕様自体もセキュリティリスクを軽減している。
手軽なワイヤレス接続を可能にしたWireless Directだが、1対1の接続では「ネットワーク内のPCが持つiTunesライブラリを再生する」といった“3BOX”(iPhone、PC、スピーカー)の運用はできない点に注意したい(もちろん無線ルータがあれば可能だ)。同社によると、Wireless Directは「Bluetooth接続の代わり」として用意したという。
「われわれは、Wireless Directを“Bluetoothの高音質版”ととらえています。Bluetoothは伝送距離が約10メートルとエリアが狭く、音声データも圧縮されてしまいます。Wireless Directなら約40メートルと広く、また非圧縮伝送のため“CD並みの音質”でワイヤレス再生が楽しめます」(橋本氏)。
無線LANのメリットにBluetoothのような手軽さも取り込んだスマートモバイルオーディオ。欲をいえば、パイオニア推奨のDLNAアプリなどが提供されるとさらに利便性は高まると思うが、少なくとも使い勝手と音の両面で注目の製品といえそうだ。
「ワイヤレススピーカーの分野は、国内ではまだBluetoothスピーカーが中心で、Wi-Fiモデルは立ち上がったばかり。DLNAアプリの提供なども含め、ネットワークを利用して“もっと楽しいシーン”を広げていくことにアイデアを出していきたいと思います」(同氏)。
型番 | XW-SMA3-K | XW-SMA1-K |
---|---|---|
DLNA1.5/AirPlay | ○ | |
無線LAN | IEEE 802.11b/g(Wireless Direct機能付き) | |
バッテリー | ○ | なし |
IPX 3 | ○ | なし |
カラー | マットブラック | 光沢ブラック |
本体サイズ | 320(幅)×180(高さ)×145(奥行き)ミリ | |
重量 | 4.1キログラム | 3.6キログラム |
実売想定価格 | 3万5000円前後 | 2万5000円前後 |
発売日 | 8月下旬 | 7月下旬 |
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