さすがに高級モデルだけあって、サウンドクオリティーはなかなかのレベル。解像度が高く、広がり感も良い。高域はソリッドで伸びやか、低域は緩やかで響きの良さが目を引くものの、基本的な音色傾向としては、素直なタイプといっていいだろう。何よりも、ボーカルの声の近さがいい。ウォーミーで、厚みのある得た声を、とても近い距離で存分に堪能させてくれるのだ。アコースティックギターなどとも相性が良く、キレの良いリズムと、豊かなボディーなりのアンサンブルがなかなかに絶妙だ。
ただし、今回の試聴機に関しては、まだ高域の堅さが取り切れていない印象も持った。メーカーで100時間以上、筆者も試聴前に丸1日エージングを行っており、以前聴いた全くの新品状態に個体に比べると相当改善されたが、ピアノの響きなどを聴くかぎり、まだ完全とはいえない状態にも思える。本領を発揮させるためには、数100時間にわたってじっくり育て上げることをオススメしたい。事実、それだけの期待をかけたくなる良質な製品であることは間違いない。
本格派の大型ヘッドフォンである「HPH-PRO500」に対して、「HPH-PRO300」はポータブル性を考慮したオンイヤータイプのヘッドフォンとなる。とはいえ、デザインはほとんど共通で、ドライバーもネオジムマグネット採用の40ミリ口径を採用するなど、そのサウンドにいっさいの手抜かりはない。
ケーブルは片側直出しタイプとなるものの、iPhone/iPod/iPad対応のリモコンや、絡みにくいフラットケーブルを装備するのは「HPH-PRO500」と同じ。イヤーパッドにウレタン素材を採用するのも同様だ。もちろん、折りたたみすることによって、手軽に持ち運べるようにもなっている。
高解像度で上質なHPH-PRO500のサウンドに対し、HPH-PRO300は絶対的なクオリティーこそ及ばないものの、聴かせどころが巧みなイメージ。振動板の距離の近さを生かしたダイレクト感の高いサウンドで、迫力ある演奏を楽しませてくれる。とはいえ、中高域のフォーカス感が高く、低域が緩やかな広がりを持つキャラクターは、HPH-PRO500と同じ。あくまでクオリティーを求めるか、扱いやすさを求めるかでどちらをチョイスするか決めても間違いはないと思う。
素直な音色傾向が好みだけど、長時間使っても聴き疲れしない、ジェントルで響きが心地よい低音を持つヘッドフォンがほしいという人には、どちらにしろベストマッチな製品だといえる。
音質評価 | HPH-PRO500 |
---|---|
解像度感 | (粗い−−−−○きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−−○−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−○−−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−−○−質感重視) |
音質評価 | HPH-PRO300 |
---|---|
解像度感 | (粗い−−−○−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−−○−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−−○−−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−○−−質感重視) |
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