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» 2014年06月11日 11時00分 公開

四季をアレンジしてオーバーダブ、ハイレゾ・サラウンド最新作「The Four Seasons」の舞台裏(2/2 ページ)

[田中宏昌,ITmedia]
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事前に定位を徹底的にシミュレートした

 沢口氏は、事前にサラウンド音場を音楽作成および楽譜作成ソフトウェアの「finale」でシミュレーションし、最終的な仕上がりイメージを把握した上でマイクや楽器別に定位を検討したという。興味深いのは、フロントにビオラとチェロを並べ、バイオリンをリアに配置した点だ。「フロントにバイオリンを置くとバランスがいまひとつで落ち着かず、今回の配置がバランス的にベストだった」(沢口氏)とのことで、竹田氏も「演奏者に近い響きだった」と述べた。

今回はアナログコンデンサーマイク、リボンマイク、デジタルマイクという3種類の異なるマイクを使っている
アンサンブル録音では演奏者が向かい合うように配置された
ソロパートのマイク配置

サラウンドは優れた表現媒体

 レコーディングに利用された機材やシステムの概要は下の図を参照してほしいが、「極力アナログケーブルを廃し(6メートルほどしか利用しなかったとのこと)、デジタル化することで圧倒的に解像度が良くなり、音の立ち上がりがシャープになった」と沢口氏は言う。

 「ステレオは、例えれば“押しずし”のような情報量であり、今回の録音は自然のままの響き、五角形である大賀ホールの形が見えるようなサラウンドを収録できた。サラウンドは優れた表現媒体であり、ハイレゾ・サラウンドに多くの人の関心が集まってほしい」とまとめた。

 ちなみに、沢口氏の聞き所は夏の第3楽章で、チェロの低域が存分に出るところが気に入っているという。

 最後に、ハイレゾ・サラウンドについて竹田氏に聞いたところ、「立体感が出て、距離感が伝わるのがいい。演奏者の表現の幅が大きく広がるからサラウンド・サウンドはどんどん普及していってほしい」とのことだった。沢口氏と一緒に仕事をしてハイレゾのすごさを体験し、非常に驚いたという。「まだハイレゾのサウンドを耳にしていない人は、ぜひ一度聞いてほしい。あまりに違うので(ハイレゾ以外に)戻ることができなくなるかも」という言葉が印象的だった。

上から順にRME MADIface XT、Merging Horus、Merging Pyramix
レコーディングシステムの概要

「The Quartet Four Seasons」のメイキング映像。沢口氏による解説が楽しめる

 なお、The Four Seasons(UNAHQ2005)は、6月20日からe-onkyo musicHQM STOREHIGHRESAUDIO.jpの各Webサイトで配信される予定だ。価格はe-onkyo musicの予価でステレオ版が3000円、5ch版が3500円(いずれもアルバム単位、税別)の見込みとなっている。

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