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梅雨にご用心――アレルギー専門医が語るハウスダスト対策の重要性

» 2014年06月11日 19時47分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 「ダニ対策は梅雨の時期が重要」――レイコップ・ジャパンの新製品発表会で「ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック」の永倉仁史院長が登壇し、専門医の立場から小児ぜんそくとハウスダストの関係を解説した。

「ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック」の永倉仁史院長

 小児ぜんそくは、環境アレルゲンに対する特異的な抗体(IgE抗体)が引き起こす“アトピー型”が多く、主な原因は、ダニの死骸やふん、カビ、花粉、動物の毛といったハウスダスト。約80%が3歳までに発症するという。「ぜんそくは呼吸が苦しくなったり、睡眠中に発作が起こると呼吸が妨げられて“断眠”が起こるなど、日常生活に大きな影響を及ぼす。さらに睡眠不足により、高血圧や肥満、糖尿病、うつ病など、さまざまな健康リスクも高まる」(永倉氏)。

 神奈川県衛生研究所が一般家庭34世帯のアレルゲン量を調査したところ、44%の家庭から発作を引き起こすレベル(WHOの基準を超える)のダニアレルゲン量が検出された。「ぜんそくの子どもは、1960年代は1%に満たなかった。しかし、現在は子どもで10%、大人でも6〜10%。確実に増加していることが分かっている」という。

文部科学省「学校保健統計調査」の年代別ぜんそく患者数。いずれの年代でも増加している(左)。就寝時の発作は明け方に急増する。これは就寝時に空中に舞ったハウスダストが床に徐々に落ちてくるためだという(右)


 なぜ増加しているのか。永倉氏によると、日本はアレルゲンとなるダニが繁殖しやすい環境にあるという。「ダニが増える条件は気温25〜30度、多湿な気候、エサとなるフケやアカが豊富、そして卵を産みやすいこと。気温と湿度の条件でいえば、6〜7月の梅雨はダニにとって絶好の繁殖期。また有症率増加の要因は、アルミサッシの登場による住宅の高気密化や断熱化もある。住宅性能の向上がダニを繁殖させやすい環境にしている」。

 症状を効果的に抑える治療として「吸引ステロイド薬」があるが、一方でその副作用も懸念されている。5〜6年間にわたり吸引ステロイド薬の治療を続けた子ども達と、使わなかった子ども達を比べると、24.9歳の時点で身長に1.2センチの差が出た調査結果もある。永倉氏は「症状を抑えることに役立つが、使い続けると子どもの成長抑制のリスクもある。薬の使用量を抑えるだけではなく、予防、発症させないことが重要だ」と指摘した。

小児ぜんそくは夏から秋にかけて増加傾向にある

 小児ぜんそくの発症は夏から秋にかけて増加傾向にある。それは、高温多湿になる梅雨の時期に急増したダニが秋口に死に、死骸がハウスダストとなって“飛び散る”ためだ。永倉氏は、「10月頃に室内のアレルゲンが増えることになる。対策は家の中のダニを除去すること。寝具や床、ふとんカバーの交換など、まさにこの時期からの対策が重要だ」と警鐘を鳴らした。

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