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» 2014年08月18日 14時45分 公開

山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」:Dolby Atmos再生にも個性の違い――デノンとパイオニアの試作機をチェック (2/2)

[山本浩司,ITmedia]
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デノン「AVR-X4100W」とパイオニア「SC-LX58」――それぞれの個性

 さて、この秋ドルビーアトモス対応AVアンプの発売を表明しているのは、デノン、マランツ、オンキヨー、パイオニア、ヤマハの5社。このうち9月発売予定のデノン「AVR-X4100W」とパイオニア「SC-LX58」という2モデルの試作機の音を聴くチャンスを得たので、ここではそのインプレッションを記したい。

 デノン「AVR-X4100W」の内蔵パワーアンプは125ワット(8オーム時)の7チャンネル構成。5.1chシステムにオーバーヘッドスピーカーを1ペアを加えた5.1.2システムでドルビーアトモス再生がすぐさま楽しめるが、DSP内部では9.1 チャンネルのアトモス信号処理が可能なので、本機にステレオアンプを加えれば、ドルビーが推奨する5.1.4(オーバーヘッドスピーカーが2組4本)または7.1.2システムに発展させることが可能だ。

デノン「AVR-X4100W」は9月中旬に15万円(税別)で発売予定だ

 アトモス以外の注目ポイントとしては、DLNAを用いたネットワークオーディオ再生、およびUSB Type A端子を用いたメモリー再生時に、従来の192kHz/24PCMファイルに加えて2.8MHz/DSDとAIFFフォーマットへの対応が果たされたことを挙げておきたい。また、本機には2本のダイバーシティーアンテナが搭載されており、Wi-Fi、Bluetooth 、AirPlayに対応、スマート端末を用いてワイアレスで手軽に音楽を楽しむことができる。

 まだドルビーアトモスが収録されたBlu-ray Discは発売されていないので、ドルビーアトモスのデモ用トレーラーを本機で再生してみた。ステレオパワーアンプを1基追加し、オーバーヘッドスピーカーとしてフロントハイト、リアハイトに小型スピーカーを追加しての試視聴だ。

デノン「AVR-X4100W」の背面

 とにかくドルビーアトモスのリアルな移動音と3次元的に広がる音場感の豊かさは圧倒的。これなら無理をしてでもオーバーヘッドスピーカーを取り付けたいと多くのAVファンに思わせるに違いない臨場感が味わえる。またフロントハイト、リアハイト設置でもドルビーアトモスならではのダイナミックなアトモス効果が得られることが分かったのも大きな収穫だ。

 充実した電源回路に支えられた「AVR-X4100W」は、低域から中低域が充実した腰の座ったサウンドが最大の持ち味。デノン伝統のオーセンティックな音調が継承されており、映画のダイアローグが実に艶(なま)めかしい。15万円という価格を考えると、思わずベストバイ!と叫びたくなるサウンドだ。

 パイオニア「SC-LX58」はデノン同様9月の発売が予定されているが、その時点ではドルビーアトモス再生機能は実装されず、後日ファームウェアのヴァージョンアップで対応するという。本機の内蔵パワーアンプは170ワット(6オーム)の9チャンネル構成で、本機だけで5.1.4または7.1.2システムでのドルビーアトモス再生が可能だ。

パイオニア「SC-LX58」。9月上旬に17万800円(税別)で発売予定

 パイオニアは2009年に発売した「SC-LX90」からクラスDアンプを搭載して全チャンネル駆動時のドライバビリティの向上をテーマにしてきたわけだが、本機にもIR社(米国)のダイレクトパワーFETが9チャンネル分搭載されており、その切れ味鋭いパワフルなサウンドは健在だ。

 天井のトップフロント/トップリアに小型スピーカーを2組取り付けた同社視聴室でドルビーアトモス再生を体験したが、半円球状に音がみっちりと部屋中を満たし、その中を鳥や小動物が生々しく動き回るのが実感でき、その面白さを堪能した。

 また、パイオニア製AVアンプには、従来からM.C.A.C.C と呼ばれる自動音場補正機能が搭載されているが、本機にはその最新版であるM.C.A.CC Proが実装される。なかでもサブウーファーを含むすべてのスピーカーユニットの位相を制御する「フルバンドフェイズコントロール」を効かせることで、ドルビーアトモスならではのリアルな移動感、音場のフォーカス感がピタリと合ってくるのが実感できた。パイオニアが長年培ってきた自動音場補正機能が、ドルビーアトモス時代を迎えて大きくクローズアップされるのは間違いないだろう。

パイオニア「SC-LX58」の背面

 まずはデノンとパイオニアの2モデルの試作機を聴いたが、コクのある濃密なサウンドをアピールするデノン、キレのよい鮮烈なサウンドで力強く迫るパイオニアと、ドルビーアトモス再生においてもそれぞれの持ち味、魅力が堪能できたことが興味深かった。この秋の話題の中心ドルビーアトモス、どんな対応ソフトが発売されるのか、間もなく行われる正式発表を楽しみに待ちたいと思う。

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