ITmedia NEWS >

シンプルにハイレゾを楽しむならスマホ――「ARROWS NX F-02G」の機能と音質をチェックスマホでハイレゾ♪(2/2 ページ)

» 2014年12月26日 10時02分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
前のページへ 1|2       

ヘッドフォンのドライブ能力も十分、繊細かつ引き締まった音楽が楽しめる

 では、ハイレゾ再生時の音質はどうだろうか。試聴にはハイレゾ仕様ヘッドフォンのオーディオテクニカ「ATH-MSR7 LTD」、ソニーのカナル型イヤフォン「XBA-4SL」、そしてドライブ能力を確認するため開放型ヘッドフォンのULTRASONE「HFI-2400」を用意した。特に明記していない場合は、基本的に筆者が普段愛用している「ATH-MSR7 LTD」のことだと考えてほしい。なお、再生には標準のメディアプレイヤーアプリを使っている。

今回試聴に使った2つのヘッドフォンと1つのイヤフォン。いずれも筆者が普段から使っているので音は聞き慣れている。接続ケーブルなどは標準の物をそのまま使っている

試聴は全て標準の音楽再生アプリであるメディアプレイヤー。プレイリストも単独で作成できるなど音楽プレヤーとして一通りの機能は備えている

 まず、CD音源(WAV)とハイレゾ音源をμ'sの「Woderful Rush」で聴き比べたが、音量を上げていってもハイレゾ音源の方が耳障りになりにくく、音の分離が良い。打楽器の音の左右の分離が良く、ボーカルもより1人1人の声が聴こえてくる。

 続いて「ガールズ&パンツァー」のサントラから「大洗女子学園チーム前進します!」をチョイスすると、ハイレゾ音源の方が低音のハリが良く、音場も広いし、途中から加わる管楽器と低音のバランスも気持ちが良い。低音の量感だけならCD音源の方が出ている気がするが、ハイレゾ音源の方が聴いていて気持ち良いのだ。「ATH-MSR7 LTD」よりも低音がボリューミーな「XBA-4SL」に変えても、その印象は変わらない。

 これらの違いはハイレゾ音源としての再生能力というよりは、音源のマスタリングの差異から来る部分も大きそうだ。CD音源はカジュアルオーディオ機器での再生を想定し、悪い言い方をすれば良好とはいえない再生環境でも楽しめるマスタリングを求められる事もあると思うが、少なくとも現時点でのハイレゾ音源は相応の環境での再生を想定しているし、実際ほぼスタジオ収録後にミックスダウンを行った状態の音源を販売している場合もある。ハイレゾ対応の再生機器に求められるのは音源の差異をきちんと表現できる能力なので、この点において「F-02G」はアナログ段も含めてその能力をきちんと備えているといえる。

 次に同じくハイレゾ再生機能を持つスマートフォンとハイレゾ音源同士での比較もしてみた。μ'sの「Snow halation」で聴き比べると、もう1台のスマートフォンと比較して情報量の差異は感じないものの、「F-02G」の方が音場が広く、低音の押しの良さを感じる。さりとて低音のスピード感も失われていない。(いい加減アニソンばかりだと編集に怒られそうなので)アコースティックな音源として山崎まさよしの「One more time, One more chance」(LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾でのライブ音源)でも3:30〜5:00辺りの後半のサビの部分を中心に比較してみたが、やはり「F-02G」の方がボーカルの定位はぶれないのに音場が広いのは明白だった。

 アナログ段、つまりアンプ部分に関しては他のスマホと比較して特に出力が高い(音量が取れる)わけではなかったが、ULTRASONE 「HFI-2400」も実用レベルの音量が確保できた。また音場の広さや低音のキレの良さは、アナログ段のデキの良さを示すものだろう。乱暴な言い方をすればハイレゾ対応だけなら対応するチップを積めば済む問題でもあり、最終的な音質の差はアナログ段の影響も大きい。つまり「F-02G」は、この部分に関してもしっかり作り込まれているといえそうだ。

スマートフォンならではのハイレゾの楽しみ方ができる「F-02G」

 ここまでで触れた様に、「F-02G」はハイレゾ音源をAndroid端末単体で楽しめる製品としてとても素性が良い。端末メーカーとしてハイレゾ再生の動作保証ができるのは標準搭載のメディアプレイヤーだけとなるだろうが、今回の検証で分かった様に他の音楽プレイヤーアプリでもハイレゾ再生は楽しめる。例えば標準搭載のメディアプレイヤーではギャップレス再生ができないが、こういった点も他のアプリを使えばカバーできるし、「F-02G」に機種変更して、今までの機種で使い慣れたアプリでハイレゾ再生が楽しめる人も結構いるだろう。

かつてはカセットテープのノイズリダクション、今は劇場向けやBDなどの立体音響でお馴染みのドルビーが提供するドルビーオーディオも搭載。イコライザだけでは実現できない自然な音質改善、立体的な音楽再生を実現してくれる(左)。イヤフォン端子にケーブルが接続されると自動表示される「イヤフォンランチャー」。これは標準設定のままだが、表示されるアプリはカスタマイズすることもできる(中)。Wi-Fiオン、各種同期有効な状態でイヤフォンを接続してボリュームを3/4位の位置にセットし、ハイレゾ音源を再生し続けたときのバッテリー残量の推移。一度システムアップデートが自動で走ってしまっているが、約6時間再生してバッテリー消費は13%と、丸1日以上余裕を持ってハイレゾ音源を再生しっぱなしにできることが分かった(右)

 ハイレゾ再生に限らないが、ヘッドフォンやイヤフォンを接続するとカスタマイズできるアプリランチャーが起動できたり、CDクオリティーの音源をよりクリアで立体的な音楽再生が楽しめるDolby Audioも利用できる。一般的な利用方法なら3日間は充電なしで使えるスタミナもハイレゾ音楽プレイヤーとして大きな武器になるだろう。シンプルにハイレゾオーディオを楽しみたい、まだ未体験だけどハイレゾオーディオに興味がある――「F-02G」は、そんな人にとってうってつけのスマートフォンといえそうだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.