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空気を浄化する扇風機「ダイソン ピュア クール」の気になるところ滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(3/3 ページ)

» 2015年04月03日 13時25分 公開
[滝田勝紀ITmedia]
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フィルターは目詰まりしないのか?

 ダイソンが当初からPM0.1の除去を想定し、そのために製品開発を進めてきたことは分かった。しかし、もう1つ気になることがある。フィルターの密度が高いと、素人目にはすぐに目詰まりを起こしてしまいそうに思うが、実際はどうなのだろうか。Dyson Pure Coolでは、1日12時間使い続けた場合、1年間で交換することを推奨しているが、本当にパフォーマンスは持つのだろうか?

 「フィルターは目詰まりしません。なぜなら捕らえたPM0.1は繊維に付着するだけで、そのフィルター内を目詰まりさせるほど大きなものではなないからです」(パピエルコゥスカ氏)。

交換時には樹脂製カバーごとフィルターのパーツを取り替える

 しかし、フィルターが除去するものはPM0.1レベルの微粒子だけではない。PM2.5や、それ以上の大きな粒子もたくさんあり、それられが目詰まりを起こす可能性はあるだろう。例えば、国内大手メーカーの空気清浄機は「フィルター10年交換不要」とうたっているが、それは2週間から3週間おきに掃除などのメンテナンスを行うことが前提になっている。それを怠ると、パフォーマンスが極端に下がってしまうのだ。1年間のメンテナンスフリーをうたう「Dyson Pure Cool」ではどうなのか。

 「このフィルターは、目詰まりに近い状態になればなるほど、多くの有害物質を除去してくれるという現象が発生することはあります。でも、(1年間で)完全に目詰まりすることは決してありません。ダイソンはHEPAフィルターのメンテナンスをユーザーが行わないよう、1年間で交換することを前提に設計したのです」(サヴィル氏)。

 つまり、“1日12時間で1年間”という交換時期は、“完全には目詰まりしない期間”を前提に設定されたのだろう。であれば、ユーザーは交換時期を守っている限り、メンテナンスフリーと空気浄化性能という2つのメリットを享受できることになる。実際、「Dyson Pure Cool」は、交換以外の余計なメンテナンスは行えない構造になっている。

 「HEPAフィルター自体はカバーでプロテクトされており、フィルター表面に触れることができない構造になっています。これには大きく2つの理由があり、1つはユーザーがフィルターに触れてしまうと、表面を傷つける可能性があるためです。フィルター表面は繊細で、例えば掃除機などでこすったりすると傷つき、PM0.1の除去率99.95%を保証できなくなってしまいます。実際は、針の穴程度の傷でもそういった状態に陥ってしまうほど繊細な数字なのです。もう1つの理由は、そういった有害物質が付着しているフィルターに、ユーザーが触れることがないようにすること。健康に害を及ぼすような物質を手で直接触れるのは危険ですからね」(パピエルコゥスカ氏)。


 この夏も高級扇風機市場はにぎわいをみせることだろう。ただ、その中に空気清浄機能を有しているものは「Dyson Pure Cool」しか存在しない。大気汚染など、目に見えないさまざまな有害物質の脅威にさらされている御時世だからこそ、このオンリーワンな扇風機が市場にどう受け入れられるか気になるところだ。

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