ITmedia NEWS >

イベントの「待機列問題」をスマホで解消?「整理番号WEB表示システム」は救世主となるかシステム&イベント担当者に聞いた(2/2 ページ)

» 2016年05月14日 09時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]
前のページへ 1|2       

会場構成や運営体制とマッチすれば効果的

 4月29日から30日にかけて開催され、両日で約1万2000人以上(無料エリア含む)が訪れた「キンプリファン感謝祭」も、実際にこのシステムを採用したイベントの1つだ。イベント担当者に、導入を決めた理由や運用した感想を聞いた。

4月29日から30日にかけて開催された「キンプリ感謝祭」。整理番号WEB表示システムにファンからは「十王院財閥が開発してくれたシステムでは!?」といった声も(※十王院財閥とは、本編に登場するキャラクターにまつわるネタ)©T-ARTS / syn Sophia / キングオブプリズム製作委員会

 「『キンプリファン感謝祭』でこのシステムを導入したのは、会場前でお客様を長時間お待たせしないため、そして会場周辺で長い待機列を形成する必要をなくし近隣への迷惑も緩和するためです」(イベント担当者)

 導入した結果、会場外で長時間ファンを待たせる必要がなくなり、会場前に配置したスタッフが列整理ではなく客の案内に徹することができたという。ファンからも「整理券だったため、その場を離れて時間を有意義に過ごすことができた」「体力的に負担が軽くなった」といった声を受け取った。

 「今回は会場構成や運営体制とマッチしたことによる相乗効果もあったため、よりお客様に整理券システムのメリットが伝わったのだと思いますね」(イベント担当者)

 確かに、例えば「コミックマーケット」のような3日間で50万人以上が訪れる超大型イベントと、このシステムはマッチしないだろう。十何万枚の整理番号を配布し、管理するのは現実的ではない。単に整理番号WEB表示システムを導入すればいいというわけではなく、システムがイベント全体の構成や会場の都合と噛み合うことによって、主催側にもファンにとってもうれしいイベントとなるようだ。

 メリットばかりではなく、システム運営に関する懸念もある。それは転売問題だ。列に何度も並び、整理券をイベント参加者に売りつけるような「転売屋」の出現が考えられる。

QRコードが記載された整理券のイメージ

 「この整理番号WEB表示システムがもっと広がると、この問題はますます大きくなっていくのではないでしょうか。運営側としても現時点で対策をいくつかしていますが、今後も考えていかなくてはいけないと思っています」(システム担当者)

 残念ながら、整理番号WEB表示システムは「待機列問題を100%解消する救世主」にはならない。それでも、有効な解決策の1つとしては考えてよさそうだ。よりよいオタクライフを支えるテクノロジーの進化を、これからも全力で期待していきたい!

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.