今回のポタフェス大阪では、関西の地元ブランドが元気だったことも印象的だった。バランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーモデルの価格破壊で一躍名を馳せた京都発のオーディオブランド「ZERO AUDIO」では、全展示を本邦初公開となる秋の新製品で占めるという、思い切った構成でイベントに挑んだ。
イヤフォンの展示5モデルのうち、「ZB-01」「ZB-02」「ZB-03」の3モデルは新ライン「ZERO BASS」として展開する。中でも上位モデルのZB-03は基本設計が同じ他2機種と異なり、専用ダイナミックドライバーの他にアルミ削り出しのハウジングや自動車の塗装に用いられるベーキングフィニッシュなどのコダワリを詰め込んだモデルだ。価格はいずれもオープンで、ZB-01とZB-02が3500円、ZB-03が5000円を見込んでいる。とくにメーカー側ではZB-03のサウンドクオリティーに自信を見せており、実際に試聴していた参加者が予定価格を聴くと「ウソやろ!?」と感嘆を漏らしていた。
自社で生産設備を持つZERO AUDIOらしいアイテムが「ZERO AUDIO DIY COMPONENT」と銘打ったケーブル自作キット。ハンダ不要で、付属の精密ドライバー1本でイヤフォン用ケーブルを作ることができる東大阪に拠点を構える「SATOLEX」も開発中の製品を参考展示した。イヤフォンの「Tubomi」シリーズで以前からハウジングの違いによる音の変化というオーディオ的アプローチに取り組んできた同社だが、今回は真ちゅう削り出しのハウジングを試作。しかも蔵出し品とは別にエージング済みのものも用意するなど、ブランド創設から間もない同社ではあるが、オーディオに対する真摯(しんし)な姿勢が伺える。
真ちゅうハウジングモデルを「Tubomi3姉妹の長女」と位置付ける同社だが、製造にはかなりコストがかかるらしく、今のところリリースに関しては慎重な姿勢を見せている。まず試作し、先端ユーザーが集うポタフェスで意見を聴くというのが今回の目的だという。
ヘッドフォンもメタルハウジングの試作品を参考展示として出してきた。オーディオ的な研究精神が旺盛なブランドだが、出自がOEMメーカーというだけあり、アイデアをカタチにする手段を持っているというのはやはり強い新しい会場である上に展示面積が倍増したこともあり、運営事務局は少し不安もあったとのことだが、フタを開けてみれば大盛況。床面積が広いため会場の作りはゆったりとしており、移動が困難ということはなかった。それでも人気のアユートブースを筆頭に多くのブースで終始活気が絶えることはなく、一部では「普段のイベントの倍はお客さんが来てくれている」という声も聞かれた。
各地のポタフェスで来場者を迎えているe☆イヤホン広報部の松田信行氏は、ブース運営のメーカースタッフと同様に休憩を取る暇がない程の忙しさ。時間によっては来場者カウントを兼ねたパンフレット配布が追いつかなくなるなど、予想以上の盛況ぶりに驚きを隠せない様子だった。
今回も来場者をエントランスとくじびきコーナーで迎えたe☆イヤホンの松田氏(画像左)。多くのブースのご多分に漏れず、エントランスも常に人であふれており、パンフレットを渡しそびれるほど混雑する時間もあったという。スタンプラリーも景品を全て配り終えるほどの盛況ぶりだった「毎回恒例のスタンプラリーも、実は景品を追加しないと追いつかないくらいお客さんがいらっしゃいました。外が随分と暑かったですが『そんな事はお構いなし』と言わんばかりに多数の方にご来場いただけた事に驚きですね。僕が見た感じではカスタムIEMがかなり人気だったみたいで、こっちも常に注文のお客さんが途切れなかったようですよ。中には2つ3つとインプレッションを取った方もいらっしゃるらしく、想定外の注文数で充填剤が売り切れて店じまいとなったようです。
こうして見ると市場として確実にネクストステップへ進んでいる感じがしますね。先程のカスタム人気もそうですが、今回は結構女性客を見た気がするんですよ。また普段店舗にいても、ここ最近は年齢層の幅が60代くらいまで広がっている様に思います。ポータブルオーディオが幅広い方に支持されてきており、ジャンル自体も多様化してきているんでしょうね。そういったさまざまなニーズに、専門店としてしっかり応えられるように頑張っていきます」(松田氏)
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