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今年のグッドデザイン大賞は“理にかなった世界地図”――金賞にはソニーのハイレゾ対応ヘッドフォンも

» 2016年10月28日 20時55分 公開
[ITmedia]

 10月28日、2016年のグッドデザイン大賞と各賞が発表された。グランプリにあたるグッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)を受賞したのは慶應義塾大学 政策・メディア研究家鳴川研究室とオーサグラフ株式会社の世界地図図法「オーサグラフ世界地図」だった。

「オーサグラフ世界地図」

 オーサグラフ世界地図は、大きさや形の歪みをおさえた正確な地球の全体像を示す四角い世界地図。球形の地球を平面にする世界地図は必ずどこかに無理が生じるものだが、オーサグラフ世界地図は面積を正確に表現しつつ形の歪みを減らすことに成功した。全世界が長方形にぴたりと収まり、さらに地理関係を損なわずに全方向につなげられるのが特長だという。

 「この地図を眺めれば、グリーンランドはオーストラリアよりずっと小さいこと、成田空港からブラジルにオリンピックを見に行くときにヒューストンを経由する飛行ルートは理にかなっていること、南極はインド洋、大西洋、太平洋全てに面している唯一の大陸であることなどを理解することができる」

 審査では、「世界地図は人の世界観を規定する力を持つが、私たちの世界観は未だに16世紀に作られた歪んだ地図(メルカトル図法)がベースになっている」と指摘した上で、「オーサグラフは従来の地図の欠点を補い、現代の世界情勢に即した世界観を反映した、新しい地図図法の発明である」と評価している。

グッドデザイン金賞にはヘッドフォンやテレビ、デジカメも

 グッドデザイン金賞は、ソニーのハイレゾ対応ステレオヘッドフォン「MDR-Z1R」をはじめ、シグマのレンズ交換式デジタルカメラ「sd Quattro System」、韓国Samsung Electronicsのテレビ「SERIF TV」など19点が受賞した。詳細はグッドデザイン賞の公式サイトで確認できる。

MDR-Z1Rは、不要共振を抑える有機的な曲面を取り入れたハウジングをはじめ、自然界に存在するフィボナッチ数列を利用したランダムパターンを採用したプロテクターなど、音に対する新しい試みが評価された
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シグマの「sd Quattro System」は、独自のFoveonセンサーやデジタルカメラのデザインを再定義した斬新なスタイルなどが評価された
サムスンのSERIF TVは、家具デザイナーとの協業で開発したという斬新なデザインが特長。スタンドはイーゼルの形とし、「映像をフレームの中で見ているような錯覚を起こす」(審査員の評価)。なお、日本では販売されていない

 グッドデザイン賞は、1957年に当時の通商産業省が創立した「グッドデザイン商品選定制度」(通称:Gマーク制度)により生まれたデザイン評価・推奨制度。日本で唯一の総合的なデザイン評価の仕組みで、デザインを通じて産業や生活文化を高める運動にもなっている。

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