そのほかの重低音モデルとして、JVCの「XX」シリーズとSkullcandyの「Crusher」を挙げておきたいです。中でもCrusherは、低域の強調と同時にヘッドフォン自体が振動するというユニークなギミック付き(→レビュー記事)。この極端な低音がけっこう映画視聴に合います。考えてみれば、映画館の低音ってかなりの量感を持っているので、極端なくらいでちょうどいいのかもしれません。
普段、使用しているヘッドフォンが活用できて、本格的なサラウンド感を楽しめる技術もあります。それが「DTS Headphone:X」(以下、ヘッドフォンX)。DTSという社名は、映画館やDVD/BDで見たことがあるのではないでしょうか。いわゆるサラウンドフォーマットを作っている会社です。
ヘッドフォンXは、あらかじめ映画などの音声に処理を加えることで、バーチャルな11.1chサラウンド音場を作り出します。それもヘッドフォンの“脳内定位”ではなく、自分の周りをスピーカーが取り囲んでいるかのように感じられる不思議な技術(→発表記事)。思わず「どこから音が出てるの?」と言いたくなるほどのサラウンド感が魅力です。
そして最大の特徴は、既に触れたように特別なヘッドフォンが必要ないこと。デコーダーも一般的なBlu-ray Discレコーダーが普通に搭載しているDTSデコーダーで対応できるため、ユーザーは追加投資の必要がありません。なお、2013年の技術発表後、“ヘッドフォンX対応”をうたうヘッドフォンが一部メーカーから発売されましたが、技術に最適化したチューニングという意味であって必須ではありませんので注意してください。
このようにハードウェア面では手軽に使えるヘッドフォンXですが、実はソフトウェア――つまりコンテンツがとても限られています。既に世に出ているのは、劇場版作品のBlu-ray Discがメイン。例えばBD版「暗殺響室」(スペシャル・エディション)や「アンフェア the end」「ガールズ&パンツァー劇場版」(特装限定版の特典)や「劇場版 進撃の巨人 前後編」(初回特典として収録)など。現在のところ、特典としてヘッドフォンXの音声信号が収録されるケースが多いようです。
以上、ヘッドフォンを使い、映画を迫力のある音で楽しむ方法を3つ紹介しました。それぞれの特徴をまとめると以下のようになります。個人的に推したいのはヘッドフォンXですが、やはり対応コンテンツの少なさがネック。今後の展開に期待したいと思います。
サラウンドヘッドフォン | DTS HEADPHONE:X | 重低音ヘッドフォン | |
---|---|---|---|
サラウンド感 | ○ | ◎ | × |
重低音の迫力 | ○ | ○ | ◎ |
コンテンツの豊富さ | ◎ | × | ◎ |
ヘッドフォンの汎用性 | × | ◎ | ◎ |
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