地方の流通小売りというと、大手SC(ショッピングセンター)が地元資本のスーパーを圧倒するというイメージが強いが、沖縄はそれにあてはまらない。サンエーが沖縄県内のスーパー/ショッピングセンターで店舗数・売り上げともにNo.1であり、リウボウストアやカネヒデと呼ばれる地元資本の流通小売りの勢力も強い。これら地域密着のスーパーがEdy加盟店となったことで、沖縄の地域経済は一気にEdyに傾いた。小暮氏は「『サンエーさんが(Edyを)入れるなら、うちも導入しなければならない』とEdy加盟店への参加を希望する声が一気に増えました」と笑顔を見せる。
「スーパーマーケットとEdyの相性はとてもいいですね。ある店舗では、決済全体の約25%がEdyになっています。サンエーなどはハウスカードもあるのでEdyとの棲み分けとなりますが、一般的な(スーパーでの)クレジットカード利用が少ないのも、Edyが有利なポイントだと思っています」(小暮氏)
ここからは、沖縄の加盟店事情について見ていこう。
まず筆者が足を運んだのが、アメリカンテイストのハンバーガーショップ「A&W」。ここは沖縄返還前の1963年から続くハンバーガーショップであり、県内に21店舗がある。店内に足を踏み入れると、なかの雰囲気はまさに“古きよきアメリカ”。それもそのはずで、A&Wの創始は1919年にカリフォルニア州に作られたルートビアスタンドだという。ハンバーガーの基本スタイルは「フレッシュ&ボリューム!!」だ。
そのA&WでEdyが導入されたのは、2003年9月のこと。沖縄でも早期の導入店舗のひとつである。現在は21店舗すべてでEdyに対応している。
「A&Wの客単価は800〜900円ほどで、クレジットカードには対応していません。Edyについては、地元のお客様については『マイルが貯まる』メリットが訴求されています。また、観光客向けの訴求効果も感じていまして、A&W空港店では特に利用が多いですね。決済全体の約10%がEdy利用になっています」(エイ・アンド・ダブリュ沖縄 販売促進部 販売企画課次長の伊波弘次氏)
A&W全体で見ると、Edyの平均利用率は8%強。同店では特に観光客への訴求効果に着目しており、Edyマイルプラスにも参加している。
「また、地元でのEdy導入効果で見ますと、周辺の店舗がEdy加盟店になっていっている影響が多いですね。例えば、(今回、筆者が訪れた)牧港店では隣接するスーパー『サンエー』やドラッグストアの『マツモトキヨシ』がEdyに対応しています。このように周辺店舗すべてでEdyが導入されたことで、お客様の流動が起きているという感触を得ています」(伊波氏)
伊波氏が話すように、沖縄ではすでに「隣接する店舗同士が、すべてEdy加盟店になっている」場所が多い。これが一種の“Edyゾーン”を形成しており、ユーザーの利便性を高めているほか、加盟店同士で「顧客の流動」を促す効果を現し始めているのだ。SuicaやPASMOなど交通IC系電子マネーの“駅ナカ効果”と似たような現象が、“交通利用”を抜きにして沖縄のEdy加盟店では起きているのだ。(後編に続く)
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