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» 2013年06月21日 08時00分 公開

注力すべきはペイドメディア? それともオウンドメディア?デジタル時代のマーケッターに問う(後編)(6/6 ページ)

[Business Media 誠]
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「Jimdo」立ち上げ時に使った、まさかの秘策

高畑哲平 高畑哲平さん(KDDIウェブコミュニケーションズ 取締役副社長)

高畑: 私自身が2009年に立ち上げた「Jimdo」というWeb制作ツールがあります。新規事業ですからペイドメディア、いわゆるリスティング広告を使う予算がありませんでした。必然的にオウンドメディアを使ってリピーターを増やすしかなく、イベントをひらいたり、Facebookでユーザーといろいろとやりとりしたりしてファンを拡大しました。

 右肩に上がってくるまで2年くらい。それまで経営陣がどう我慢していたのかといえば、私が報告しなかった(笑)。「うわー、もうだめだ!」という会議のときに風邪をひいた。とにかく逃げ続けて2年後に「ほら、うまくいったでしょ」と。

小沢: いまは副社長という立場ですが、では若い人が何かをやろうと動き出したときに、アクイジションファーストの成果を求めないのですか?

高畑: アクイジションファーストの成果の限界というものを、私が一番知っています。なぜなら「私の仕事がなくなった」という経験があるからです。ですから、基本的にはリレーションシップファーストにシフトしてほしいなと思っています。

 でも、アクイジションファーストを仕事にしてきた人には、リレーションシップファーストの考え方が理解しづらい。「ファンを作るってどういうことなの? 何からやればいいんですか?」と。ツールが整ってないんですよね。オウンドメディア管理ツールというものはありません。だから、みんな「オウンドメディアとは」みたいな本を買う。

甲斐: 当社の顧客の中に、基本的にリピート商品が多い業態のお客さんがいます。その人たちにとっては、どうやってお客さんをリピートさせるのかということが最初にあって、それが見えてから新規獲得の予算の設計ができるという構造なんです。ところが、われわれはアクイジションファーストでやってきたものだから、会話が成り立たない。こういうギャップが、業界の問題ではないでしょうか?

 やはり昔から商売をしている人は、リピートと新規の組み合わせというバランス感覚をよくご存じです。デジタル広告というものを生業にしている人間こそ、そういう大きな構造の中でどうやってデジタルを活用していくのかという考え方に切り替わらなければならないでしょう。

小沢: デジタルマーケッターは、自分たちの専門領域のプロフェッショナルであり続けるだけでなく、その領域を一歩踏み越えた創造性も持たねばならないのですね。最後に一言ずつ締めくくりの言葉をお願いします。

高畑: デジタルマーケッターとしての経験談として、「デジタルに固執しないことがすべて」かなと思っています。デジタルというものには限界がありますし、固執すればするほど、全員がデジタルの中にいるという錯覚に陥りやすいメディアなのです。自分たちの日常生活の中に、いかにアナログ的な生活があるのかということをふり返ってみて、デジタルと適度な距離を持つということが最終的に成果を出す方法だと思います。

甲斐: 最近ますます、さまざまなデジタルデバイスの世の中への浸透力が強くなってきています。デジタルの特徴は、すべての活動が計測できることです。だから、アナログメディアの中にデジタルメディアを組み合わせておくことで、従来やっていたアナログのマーケティングさえも計測できるようになるでしょう。こういった観点でデジタルをうまく使っていけば、マーケティングというものは変わり、経営のエンジンになっていくのだと思います。

小沢: お客さんを「ユーザー」や「消費者」といった呼び方でみるのではなく、どれくらいの「ファン」が増えたのかという視点を持つデジタルマーケティングを展開していければなと思いました。本日はありがとうございました。

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