安否連絡から情報収集まで――災害時に役立つアプリ(iPhone編):災害時のケータイ活用を考える(2)(3/3 ページ)
東日本大震災では、情報収集や安否確認、地震速報通知などでスマートフォンのアプリが活躍した。発信規制で電話が使えないときでも、インターネットを介してさまざまな情報をやり取りできた。そこで、これら災害時に役立つアプリを紹介しよう。今回は28本のiPhone向けアプリを取り上げる。
テレビやラジオ、新聞の情報をiPhoneで
災害時の情報収集では、やはりテレビやラジオ、新聞が、なじみのある媒体として多くの人たちに利用されている。携帯電話のワンセグは計画停電のときにも便利に使われたようだ。iPhoneでワンセグを視聴するには、周辺機器の「TV&バッテリー」と専用アプリが必要になるが、ラジオは「radiko.jp」などをインストールするだけで、インターネット経由で番組を聴ける。また、今回の震災では、NHK総合テレビと一部民放がUstreamにニュースをライブ配信した。現在では終了しているが、アプリを利用してリアルタイム動画による分かりやすい情報を入手できた。
radiko.jp(Alfredcore Inc./無料)
radiko.jpのサイマルラジオ放送がリアルタイムで聴けるアプリ。関東民放7局(TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送、ラジオNIKKEI、InterFM、TOKYO FM、J-WAVE)、関西民放6局(朝日放送、毎日放送、ラジオ大阪、FM COCOLO、FM802、FM OSAKA)の本配信、中京民放6局(中部日本放送、東海ラジオ放送、岐阜放送、ZIP-FM、三重エフエム放送、エフエム愛知)の実用化試験配信を聴ける。バックグラウンド再生機能を備えているので、ラジオを聴きながら他のアプリを操作可能。iOSのオーディオコントローラーに対応し、ホームボタンのダブルクリックで現れるコントローラーで音声を操作できる。
Ustream(Ustream.tv, Inc/無料)
ライブ動画配信サービス「Ustream」のアプリ。配信中の動画はもちろん、今後の予定や過去に配信された動画も確認できる。動画はカテゴリーから探せるほか、キーワード検索も可能。また、ログインすると、iPhoneから直接ライブ動画の配信もできる。
ニコニコ生放送(DWANGO Co., Ltd./無料)
生中継にリアルタイムでコメントを付けられる「ニコニコ生放送」の視聴・放送ができるアプリ。ニワンゴが放送する「公式生放送」、ユーザーが放送を行う「ユーザー生放送」、コンテンツホルダーが運営するニコニコチャンネルによる「チャンネル生放送」の視聴が可能。視聴は全会員無料だが、放送するには月額525円のプレミアム会員になる必要がある。
BBC News(BBC Worldwide/無料)
BBCの最新ニュースを閲覧できるアプリで、一部の記事では動画も用意。BBCラジオを聴くこともできる。表示するコンテンツは自分に興味のあるジャンルを選んでカスタマイズでき、記事はTwitterやFacebookで共有できる。
NHK WORLD TV Live(NHK《Japan Broadcasting Corporation》/無料)
NHKの海外向け放送「NHKワールドTV」を視聴できるアプリ。番組はほとんどが英語で放送されている。動画は自動的に横画面表示になり、見逃した部分がある場合は30秒戻して視聴することも可能。
共同通信ニュース by 記事蔵(EAST Co., Ltd./350円)
「トップ10ニュース」「主要」「社会」「政治」「経済」「国際」「スポーツ」「生活」で構成されるニュース記事を一括ダウンロードし、オフラインでも読める。詳細記事画面を左右にフリックすることで次の記事に進むことができ、横画面表示にすると写真モードが起動。カバーフローで写真を一覧表示する。なお、価格は3カ月分となっている。
産経新聞(株式会社産経デジタル/無料)
産経新聞を、紙の新聞そのままのレイアウトで読むことができる。アプリを起動すると最新の紙面データがダウンロードされ、オフラインでも快適に読める。
詳しい気象情報を確認する
普段の生活でも欠かせない天気予報。台風の多い季節はもちろん、二次災害を防ぐためにも大きな災害があった後は気象情報に注意しておきたい。また、原子力発電所の事故の影響で、各地の放射線量も注目されている。もちろん、iPhoneで計測することはできないが、政府が発表する数値を表示するアプリが登場しており、確認することで、ある程度の安心感は得られる。
ウェザーニュースタッチ(Weathernews Inc./無料)
全国各地の今日明日の天気予報はもちろん、1時間ごと、3時間ごとの天気が分かるピンポイント天気をチェックできる「天気予報Ch.」のほか、「地震Ch.」「雷Ch.」「雨雲レーダーCh.」「衛星Ch.」など多彩なメニューを用意。月額315円の有料会員になると、台風の発生・上陸・接近、地震の発生、雨雲の接近といった情報をiPhoneに直接届ける「Smart Message設定」を利用できる。
そら案内 for iOS(feedtailor Inc./無料)
日本気象協会が提供する情報をもとに、日本各地の天気予報を表示する。GPSの位置情報により、現在地の予報も取得できる。3日分の「最新予報」と「週間予報」、それぞれの解説を確認できるほか、iPhoneを横に倒すと気象衛星の画像や天気図、雨雲の動きなどを見ることができる。
放射線チェッカー(Yicha. Inc./無料)
文部科学省が公開している「全国の放射線モニタリングデータ」をもとに、現在地や各都道府県別に環境放射線量、水道放射線量、雨の放射線量を表示。原子力発電所関連のニュースや放射線の知識も確認できる。
万が一の事故やケガにも慌てず対処
万が一の場合にお世話になる病院やAED。見知らぬ場所で必要になった場合に備えて、検索アプリを用意しておくと安心だ。簡単な応急処置の方法も、一度確認しておくと、いざというときに役立つかもしれない。また、計画停電は原則中止になったが、急な停電の心配は常にある。ディスプレイのバックライトが意外に明るく、暗い場所で役立つのはよく知られているが、iPhone 4のフォトライトを簡単に点灯できる懐中電灯アプリを用意しておくと、さらに便利だ。
口コミ 病院検索 QLife - 全国約17万病院掲載(QLife. Inc./無料)
全国約17万件の病院、クリニック、歯科医院の診療時間や電話番号などを調べられる。病院名や診療科目による検索のほか、路線や駅名、さらにGPS機能を利用して、最寄りの病院を地図上で探すことができる。
日本全国AEDマップ(無料版)(日本全国AEDマップ/無料)
日本全国のAEDの設置場所を収集している「日本全国AEDマップ」(http://aedm.jp/)を活用。iPhoneのGPS情報を活用し、近隣のAEDを地図上に表示する。ストリートビューも可能。
家庭の医学(MTI Ltd./無料※4月30日まで)
一般向けの医学書「家庭の医学」のアプリ版。応急処置の方法や病気全般に関する知識をはじめ、子どもや女性の病気、病気の予防など、幅広く解説されている。キーワードや部位、症状からも検索できる。
iHandy懐中電灯Free(iHandySoft Inc./無料)
SOS信号、ネオンサイン、消防車ライトなど、ディスプレイでさまざまな照明効果を実現できるアプリ。iPhone 4では裏面にあるフォトライトを懐中電灯として利用でき、アプリを起動後、iPhoneをシェイクするだけで点灯・消灯できる。
東日本大震災の発生以降、災害対応アプリは続々と増えている。同じような使い方ができるアプリが複数あるので、自分のスタイルに合ったものを見つけ出してほしい。通信環境が比較的安定している今からインストールして使い慣れておけば、いざというときにも慌てずスムーズに利用できるはずだ。
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