ブラック「企業」という捉え方で、ブラック「業界」問題から目を背けないで:メディアとWebと人材と(3/3 ページ)
8月11日に「ブラック企業大賞2013」が開催されました。大賞を受賞したワタミフードサービスにとっては不名誉な賞だったと思います。今回はブラックな「企業」ではなく、「業界」という単位で考えてみたいと思います。
「ブラック業界」は飲食業だけではない
ブラック業界は飲食業だけではありません。構造上、従業員がつらい目にあうようになっている業界は他にもあります。介護職などは最近、改善傾向にある、あるいは2極化しているという報告もあるようですが、離職率の高い職業の代表格として言われています。また、ユニクロのようなアパレル販売職も、立ちっ放しでつらいのに薄給だとも聞きます。
長々と書いてきましたが「だからブラック業界は業界全体で反省して、労働環境を改善していくべきだ!」と大上段に振りかぶって訴えるのは、他の人に任せます。私のキャパシティを超えていますし、柄でもありません。
私が何よりも問題視しているのは「飲食業、もしくは介護、アパレル販売職などに進むと、そのような未来が待っているリスクがある」ということを、職業選択をする前に情報としてちゃんと届けられているのか、という点です。最近はキャリア教育に力を入れる学校が増えてきていると聞きますが、こうした知識や情報は学生に届いているのでしょうか?
「この業界、仕事はつらいけど自分が本当にやりたい仕事だから働くんだ!」と覚悟を決めて就職しているのなら、何も問題はありません。「いろいろとバイトで仕事を経験してみて、楽しかったバイトを仕事にしてみたら?」と言われ、バイトと社員の違い、入社後に待っている将来の待遇などについて、無知なまま送り出されているのなら大問題です。大学でのキャリア教育については詳しくありませんが、もし、そうした状況があるのなら、こんなWebの片隅からでも私個人が問題意識を明らかにすることで、何らかの波紋が起こってくれなら、それ以上にうれしいことはありません。(中嶋嘉祐)
※この記事は、誠ブログのメディアとWebと人材と:ブラック“企業”という捉え方で、ブラック“業界”問題から目を背けないでより転載、編集しています。
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