常識を打ち破る新プランで3カ月以内の純増を目指す――新生ウィルコムが始動:ネットワークも増強する(2/2 ページ)
月額980円で他社ケータイや固定電話との通話料が無料になる「だれとでも定額」を発表したウィルコム。同サービスはウィルコム再生の一手となり得るのか。そしてソフトバンクグループとのシナジー効果とは――。
法人向けに“コンシェルジュサービス”も提供
法人向けサービスにも注力し、ソフトバンクテレコムが企業向けに提供中の「おとくライン」からPHSへの通話料が無料になる「ホワイトプラン24(おとくラインW)」の提供を2011年1月1日に開始する。「企業の内線電話や病院のナースコールなどオフィスでのPHS利用は非常に多いが、会社からかける電話も無料にしてほしいという声をたくさんいただいている」と宮内氏は導入の経緯を話す。「ソフトバンクグループのいろいろな商材も合わせ、モバイルと固定を合わせた定額サービスを今後も提供していきたい」
さらに、「ウィルコムビジネスコンシェルジュ」と呼ばれる新サービスの導入も2011年に予定している。これは企業内のPHS導入から社員へのPHS使用に関するレクチャーまでをサポートするもの。「詳細は別途案内する」(寺尾氏)とのことで、企業のPHS導入を後押しするサービスになりそうだ。
新機種「HONEY BEE 4」を発売
だれとでも定額の利用を促進する新機種として、京セラ製の「HONEY BEE 4」を12月3日から販売する。フルーツの切り口をイメージし、透明感と瑞々しさを表現したという同モデルでは、インカメラの動画撮影や「すぐ文字」機能、Flash Liteの表示にも対応し、機能も進化させた。「HONEY BEEはシリーズで100万台が売れている。10~20代の若い方に利用してもらいたい」と寺尾氏はアピールする。
このほか、2011年春以降の発売を予定しているモデルも披露された。HONEY BEE 4とあわせ、こちらは別途リポートしたい。
CMキャラクターには佐々木希さんを起用
新生ウィルコムの顔となるCMキャラクターには佐々木希さんを起用し、12月2日からテレビCMを放映する。発表会に駆け付けた佐々木さんは、だれとでも定額について「無料で話せると聞いてびっくり。電話代を気にせずに話せるのは助かる」と驚いた様子だった。宮内社長からはHONEY BEE 4のピーチピンクをプレゼントされ、「普段からピンクの小物を使っているので、ファッションの一部にもピッタリ。ボタンがぷよぷよしていて押しやすい」と好印象を抱いたようだ。
データ通信は「まもなく発表」
今回の発表の中心は音声サービス。データ通信については「次世代ネットワークを利用したサービスを、もう少ししたら発表する。ソフトバンクの1.5GHz帯を使ったサービス(下り最大42MbpsのDC-HSDPAサービス)を検討している」とした。ただし当面は法人向けの提供が中心となり、コンシューマー向けには音声に絞って展開する。
宮内氏はソフトバンクモバイルの成功を例に挙げ、通信事業者がビジネスをするには「ネットワークの拡充」「端末」「サービス(料金プラン)」「営業」の4つを強化する必要があると考える。今回の発表はこれら4つの要素を満たすもので、ウィルコムが本気で“復活”を目指していることが伝わる。今後はこれら4分野での施策をいかに素早く実行できるかが重要といえる。寺尾氏は「ソフトバンクグループのスピード感とウィルコムの経験を生かし、お客様に満足いただけるサービスを提供していきたい」と力を込める。
ウィルコムの当面の目標は「3カ月以内の純増」だが、その次は同社の契約数がピークだった465万契約までの回復を目指す。「利益を上げるという意味では前半部で飛ばす。2010年度で黒字を達成し、将来的には利益を出していける会社にしていきたい」と宮内氏は意気込みを話した。鮮やかな復活劇となるか――。新生ウィルコムの動向に注目したい。
関連記事
ウィルコム、「HONEY BEE 4」「新ウィルコム定額プランS」「だれとでも定額」で再出発
ウィルコムが12月1日、会社更生計画の認可決定を受けて新たな端末と料金プラン、オプションサービスを発表。既存の料金プランの集約や新規受け付け終了など、新生ウィルコムの概要を明らかにした。「新ウィルコム定額プランS」のキャンペーン――月額料金が最大2カ月無料に
ウィルコムが「新ウィルコム定額プランS」のキャンペーンを9月1日から10月31日まで実施する。月額料金が最大2カ月間無料になるほか、条件次第では23歳以上のユーザーも契約できる。ウィルコム再生 PHSは継続、XGPは新会社に譲渡
ウィルコムの再生支援に関する枠組みが正式に決まった。アドバンテッジパートナーズ(AP)が出資して既存のPHS事業はウィルコムが継続。XGPはソフトバンクとAPなどが出資する新会社が継承する。経営破綻の背景は:かさむXGP投資、PHSとの両立が難しく――ウィルコム 久保田氏
ウィルコムの代表取締役社長を務める久保田幸雄氏が会見を開き、会社更生法申請の背景と今後の再建策について説明。XGPへの投資がかさみ、PHSサービスとの両立が難しくなったためだという。神尾寿のMobile+Views:見えぬ「選択と集中」、迫る「タイムリミット」 ウィルコムは再生できるのか
2月18日に会社更生法の適用を東京地裁に申請したウィルコム。国内第4位のモバイル通信事業者の今後どうなるのか、そして再建への取り組みは成功するかを考えてみる。ウィルコムが会社更生法申請を発表 負債総額2060億円
PHS事業を展開するウィルコムが会社更生法の適用を申請。負債総額は通信事業者としては最大規模の2060億円。企業再生支援機構やソフトバンクなどの支援を受け、再建を目指す。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.