無用なトラブルを避けるために――携帯電話の“契約”において特に気を付けたいこと:面倒でも心がけたい
携帯電話は、通信事業者と契約して使うもの。この契約をめぐり、通信事業者と契約者との間にトラブルが生じることがよくあります。このようなトラブルを未然に防ぐため、そして万が一トラブルが発生したときに困らないようにするために、知っておきたいことをまとめてみました。
私たちにとって、もはや切っても切り離せない必需品になった携帯電話。電気通信事業者の業界団体、電気通信事業者協会(TCA)によると、その総契約数は2015年3月現在で1億4783万9700件(ワイモバイルの契約数は含めず)で、日本の総人口を上回っています。
そんな携帯電話ですが、最近、契約をめぐってトラブルとなることがよくあります。とりわけ、2年契約に関するトラブル、通信速度制限や通信料に関するトラブルはよく耳にするところです。最近では、(契約区分上は「携帯電話」ではありませんが)UQコミュニケーションズの「WiMAX 2+」にまつわるトラブルが大きな話題となりました。
当然ですが、このようなトラブルは未然に避けることができれば、気持ちよく通信サービスが使えるというもの。そこで、私たちが携帯電話を契約(購入)する際に気を付けるべきことをチェックしていきましょう。
ポイント1:申込書や重要事項説明の内容を熟読する!
携帯電話の通信サービスは、通信事業者(キャリア)が定めた「契約約款」や各種の「規則」にもとづいて提供されています。私たちが携帯電話を契約すると、この約款や規則に同意したものとしてみなされます。各キャリアともに、契約約款や規則はWebページ上で公開しています。また、一部のキャリアでは、印刷されたものをキャリアショップなどで閲覧できるようにしています。
※いずれの約款も、各キャリア(ブランド)と直接契約した場合のものです。MVNO(仮想移動体通信事業者)経由で契約した場合は、当該MVNOの契約約款が適用されます。
しかし、いざ読んでみると、長い文章、難解な言葉だらけで、どの約款が自分の回線契約・機種にあてはまるのか分からない――といった感じで、全てを完璧に把握するのは困難です。普段、携帯電話について記事を書いている筆者も、さすがに全部を追いかけて覚えきることはできません。
そこで、まず確認したいのが、携帯電話の契約(購入)時の「申込書」や、それと同時に交付される「重要事項説明書」(キャリアによって呼び方は異なる)という書面です。これらには、特に私たちが知っておくべき事項を約款に沿いつつ、より分かりやすい表現で書いてあります。大量通信時の速度制限、契約期間の定義や契約期間途中での解約時の解約金などについても書かれています。契約時にしっかり読むことはもちろんですが、「実はあんまり読んでない……」という方は、今からでもしっかり読んでおくことを強くお勧めします。
ポイント2:店員さんの話をよく聞き、分からないことは必ず即質問!
携帯電話を買うことは、基本的には「契約行為」です。契約締結を担当する販売員さんは、ポイント1で出てきた申込書・重要事項説明書を使って、私たちに注意事項を説明するはずです。キャリアによっては、特に重要なことには蛍光ペンで線を引きながら説明するように販売員に指導している場合もあります。また、キャリアによっては、タブレットで重要事項説明を行い、その控えをデジタルコピーとしてユーザーWebサービスで確認できるようにしている場合もあります。
しっかり説明してくれているのに、話を聞き流し、結果として契約上のトラブル――となると、私たちの“非”は間違いなく大きくなります。面倒に思うかもしれませんが、店員さんの説明は、しっかりと確認するようにしましょう。店員さんの説明で、よく分からないことがあれば、ささいなことでもその場を質問し、疑問点を解決してから手続きを進めましょう。
なお、キャリア公式のオンラインショップでの購入も同様です。契約の過程で表示される重要事項説明のページを読み、その内容に同意した上で手続きを進めることになります。つまり、購入手続きを進めるということは「重要事項を“全部”読んで、理解した」という意思表示をしたことになります。穴が空くほど、はやりすぎにしても、しっかり読み、不明点は電話やメールで問い合わせるようにしましょう。
ポイント3:端末を割賦購入したら「個別信用購入あっせん契約書」もチェック!
最近のスマホ・タブレットは高価格化が進んでいるため、分割払い(割賦)で購入している人も少なくないと思います。端末などを分割払いで購入する場合、通信契約とは別に「個別信用購入あっせん契約」(平たく言えば「ショッピングローン」の契約)をする必要があります。契約締結にあたっては、携帯電話の未払い情報と、契約の引受者(※)が加盟している信用情報機関に登録されているクレジット情報を参照し、契約の可否を判断します。支払い総額が10万円を超える場合は、参照した情報をもとに、クレジットカードやローンの新規契約と同様の詳細な審査を行います。
※大手キャリアの場合は自社で契約を引き受けます。MVNOの場合、クレジット会社が引き受ける場合と、自社で引き受ける場合があります
割賦の分割金の支払情報は、あっせん契約中と、契約終了(完済)後、5年以内、あるいは5年を超えない範囲で信用情報機関に保存されます。携帯電話の割賦の分割金は、通常は携帯電話料金と合算して支払います。そのため、携帯電話料金の未払いがそのまま割賦の未払いとなり、信用情報機関に支払いの遅延や未払いの情報が登録されます。その結果、クレジットカードやローンの審査に通らなくなった、ということも実際に発生しています。
また、あっせん契約は携帯電話回線契約とはあくまでも“別契約”なので、回線を解約しても、支払いが完了するまで継続します(残金を繰り上げ返済して、契約を完了することもできます)。解約したからといって、支払い(返済)義務がなくなるわけではないのです。
割賦の支払い条件や、その他の留意事項に関しては、「個別信用購入あっせん契約書」や、ポイント1で登場した重要事項説明に書かれていますので、しっかり読んでおきましょう。ポイント2と同様、割賦販売に関する不明点は店員さんに(オンラインショップなら電話やメールで)必ず質問するようにしましょう。
ポイント4:購入後に困ったときの窓口を知っておこう!
さまざまな注意書きを読み、店員さんの説明も聞いたとしても、疑問点が後から生じることもあります。そんな場合に質問や相談ができる窓口には、以下のようなものがあります。
キャリアショップ
大手キャリアの「キャリアショップ」では、携帯電話回線の新規契約、機種購入や故障修理の受付だけでなく、契約に関する質問や相談も受け付けています。面と向かって話ができることが利点ですが、契約に無関係な質問(インストールしたアプリの使い方、SNSの利用方法など)はできません。
最近は、待ち時間が長くなる傾向にあるため、時間に余裕があるときに行きましょう。一部のショップでは、Web上で来店予約も受け付けているので、うまく使えば待ち時間を減らすこともできます。
※キャリアショップは、キャリアと直接契約を結んでいるユーザーがサポート対象です。「格安SIM」など、仮想移動体通信事業者(MVNO)と契約している場合は、MVNOのサポート窓口を利用しましょう。
電話・メール窓口
大手キャリアでは、電話やメールでも問い合わせを受け付けています。キャリアショップに行く時間がない場合はもちろん、キャリアショップに問い合わせても要領を得ない場合に“セカンドオピニオン”として利用することもできます。
電話窓口については、質問・相談内容に応じて、適切なオペレーターが対応してくれることがメリットです。キャリアショップ同様に待ち時間が長くなる傾向にありますが、混雑予想や電話サポート予約をWeb上で提供しているキャリアもあります。
メール窓口であれば、24時間365時間問い合わせを受け付けてくれるという利点があります。また、文字で返信が来ることも、じっくり読めるという観点では大きなメリットです。ただし、メールの返信は営業時間内に行われることには注意しましょう。
他キャリアおよび固定電話からの電話番号 | 同一キャリアの携帯電話からの電話番号 | |
---|---|---|
ドコモインフォメーションセンター (9時~20時) |
0120-800-000 | 151 |
au総合案内 (9時~20時) |
0077-7-111※ (端末購入・契約上の不明点→0120-911-984) |
157 |
UQお客さまサポートセンター (9時~21時) |
0120-929-818 | - |
ソフトバンク総合案内 (9時~20時) |
0800-919-0157 | 157 |
Y!mobile総合窓口 (9時~20時) |
0570-039-151(通話料有料) | 151(通話料有料・だれとでも定額対象) |
※「ひかり電話」(NTT東日本・西日本)など、0077番号に発信できない電話からは0120-977-033【KDDI契約分】/0120-977-699【沖縄セルラー電話契約分】 |
ドコモ | メールでのお問い合わせ |
---|---|
au | auお問い合わせフォーム |
UQコミュニケーションズ | メールでのお問い合わせ |
ソフトバンク | 休止中 |
Y!mobile | スマートフォン・ケータイ・Pocket WiFiに関するお問合わせ (機種を選んでから問い合わせ) |
※これらの窓口も、キャリアと直接契約を結んでいるユーザーがサポート対象です。「格安SIM」など、仮想移動体通信事業者(MVNO)と契約している場合は、MVNOのサポート窓口を利用しましょう。
消費者相談窓口
販売店、キャリアショップ、サポート窓口に問い合わせても、疑問が晴れない、あるいはトラブルが解消しそうにない場合は、全国各地にある「消費生活センター」など、地方自治体が設置する消費者担当窓口に相談する“最後の手段”があります。消費者担当窓口では、さまざまな消費者問題を取り扱っていますが、携帯電話の契約に関する相談も受け付けています。自宅の最寄りの窓口に出向くか、電話で相談してみましょう。
どこにあるのか分からない場合は、国で消費者行政を担当している消費者庁が2015年7月1日に運用を開始した「消費者ホットライン」に電話してみましょう。 電話番号は、全国共通で「188番(イヤヤ)」です(一部のIP電話は非対応)。ここに電話すると、プッシュボタンで入力した郵便番号、または発信地から一番近い消費者担当窓口に電話をつないでくれます。また、消費者庁所管の「国民生活センター」のWebサイトでも、全国の消費者担当窓口を検索できます。
- →全国の消費生活センター等(国民生活センター)
最後に繰り返しとなりますが、携帯電話や通信サービスは「契約商品」です。疑問点や不明点は契約前に極力解消することが、無用なトラブルの回避につながります。また、契約後にサービス上で問題が発生したときの対処法を知っておくことも大切なことです。知識は我が身を救うこともあります。この記事を通して、携帯電話や通信サービスをより便利に楽しく使えるようになれば幸いです。
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