英Vodafoneは「今年10月」、欧州で高まる3G機運3GSM World Congress 2004

» 2004年02月25日 14時45分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 仏・カンヌで2月23日、モバイル業界最大のイベント「3GSM World Congress 2004」が開催した。今年は昨年を上回る3万5000人の来場者を見込んでおり、展示スペースは18%拡大、展示社数も576社から624社に増加した。業界団体GSM Associationは開会にあたり、当初の予測より早くGSMユーザーが世界で10億人を超えたと発表。ここ数年、停滞していた欧州モバイル業界だが、今年は数年ぶりに明るい雰囲気に包まれての開幕となった。

会場はカンヌ映画祭が行われる「Palais de Festivals」

 会場全体に感じられる活気の原因は、見えてきた3Gの本格導入にある。今月初め、英国で最大手Vodafoneがデータ通信カードで3G提供を開始(2月13日の記事参照)、独T-Mobileも後に続いた。実際、3Gは今年のテーマといってよいだろう。初日にNokiaら端末メーカー各社が3G端末を発表したし、会場を見渡しても3Gの文字が目立つ。

英Vodafone CEOのアルン・サリーン氏。CingularのAT&T Wireless買収に関して、「出せる額を提示した。買収したかったが、欲しいものにも価格制限はある」とコメント。米国市場は引き続きターゲット市場。そのほか、仏と東欧でも積極的に展開したいと野心を見せた

 24日の基調講演は、そのVodafone CEOのアルン・サリーン氏とT-Mobile会長のレネ・オバーマン氏がオペレーターを代表して登場し、3Gをはじめモバイル業界全体の動向や課題について語った。

 サリーン氏は今年初めてカンヌの舞台を踏むことになる。昨年、Vodafoneの礎を築いた前任者のサー・クリストファー・ジェント氏からバトンタッチして現職についた。以後、サリーン氏の手腕に注目が集まっているが、「ネットワークビジネスをするという戦略に変化はない」と自信を見せる。「モバイル業界もコンピュータ業界と同様、水平型化しつつある。さまざまなプレイヤーがエコシステムに参加しており、他の業界の企業との協業は不可欠だ。この仕組みを理解し、共同で問題を解決していく」とサリーン氏は語る。

 欧州で大ヒットを収めている「Vodafone live!」など同社の事業戦略は、NTTドコモのiモードの影響が大きいといわれるが、「われわれの役割は技術を実現し、顧客にサービスを提供すること」と同様の姿勢を示す。あくまでもオペレータービジネスに徹し、IT、音楽業界などコンテンツサイドと協業して付加価値を付けていくという。

 この日、サリーン氏は、3Gへのコミット、ビジネスとエンターテイメントの2つのセグメントの強化などを焦点に挙げた。コンシューマ向け3Gは、予定通り10月に英国などの主要市場でサービスを開始する。端末は、ローエンドからハイエンドまで各種取り揃える意向だという。

 欧州の3Gは現在、英、伊、オーストリア、デンマーク、スウェーデンの5カ国で提供されており、全ユーザーは推定50万人。現在のところ、全世界の3Gユーザーの72%が日本といわれており、欧州の3Gはかなり緩やかな離陸となっている。最大手のVodafone、T-Mobileのほか、まだ開始していないベンダーも、仏SFRは今年中ごろ、英仏で高いシェアを持つ仏Orangeも4カ月以内と具体的な計画を明らかにしている。今年中には各社からサービスが出そろいそうだ。

 展示会場では、端末メーカーが3G端末をそろって展示しているが、オペレーター側の不安は端末にあるようだ。この日の両氏の発言からは、端末メーカー側への苛立ちが垣間見れた。

 両氏ともに、「ネットワーク、IT、サービス、すべて揃っている。後は端末だけだ」と述べ、端末メーカーの対応の遅さや性能を非難する見解を示した。NTTドコモのFOMAの成功の主な要因が、端末の価格低下やバッテリの向上と分析されていることや、先に開始した伊市場で3G端末が在庫切れしたなどの例があるだけに、オペレーター側は端末となると神経質になっている。

 「これまでより劣るユーザーエクスペリエンスを提供する端末では、顧客に提供できない。顧客を失望させないために、価格、品質、バッテリ寿命などの要求を満たす魅力的な端末を待ち望んでいる」とサリーン氏は語る。

 このほか、スパムなどの脅威に対する業界全体の取り組みの必要性、DRM、SIMなど安全なコンテンツ配信のための規格の評価、IM、電子メール、プッシュ・ツー・トークなどメッセージフォーマットの互換性の実現や標準化などがGSM Association全体の課題として提起された。

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