ahamoの「40GB化」は値上げの布石か? 通信品質改善と料金設定で揺れるドコモの戦略石野純也のMobile Eye(1/2 ページ)

» 2026年08月08日 10時29分 公開
[石野純也ITmedia]

 ドコモは、8月1日から「ahamo」や「ドコモmini」などデータ容量に上限のある料金プランを対象に、「データ増量おためしキャンペーン」を開始した。ahamoは10GB増量で、基本の30GBと合わせて40GBになる。終了時期は定められておらず、アンケートを取りながらユーザーの利用動向を見定めていく方針だ。

 8月6日は、NTTの決算説明会でドコモの代表取締役社長、前田義晃氏が、ahamoを40GB化した狙いを語った。背景には、データ容量の増加に伴う値上げをしたい意図も透けて見える。

ドコモahamo ドコモは、ahamoの40GB化を発表した。前田社長がその狙いを語った

 一方で、ドコモは新たに「ドコモ スマホデビュープランU15」と組み合わせて親の料金も1年間割り引く「ドコモ親子割」を8月7日に開始しており、期間限定ながらahamoは2420円で利用できるようになる。依然として通信品質改善の課題を抱える中、ahamoの料金設定にはドコモの迷いも感じられる。

突如10GB増量したahamo、年20%増のトラフィックに応える

 ドコモは、8月1日に突如、ahamoのデータ容量を10GB増量した。基本データ容量と合算すると40GBになる。価格は据え置きで、2970円のまま。「大盛りオプション」を付け、ahamo大盛りにしている場合には、120GBもの大容量になる。あくまでキャンペーンという位置付けだが、現時点では終了日が告知されていないため、しばらくの間は“40GBプラン”として利用することが可能だ。

 競合他社の料金プランと比べても、金額とデータ容量のバランスがよく、破格の料金プランになっている。例えば、“ahamo対抗”として導入されたUQ mobileの「コミコミプランバリュー」は、1年間適用される「UQコミコミおトク割」を付けても3168円で35GB。Y!mobileの「シンプル3 L」も、割引フル適用で35GBが3058円だ。データ容量が多く、かつ金額も安い上に、割引などが不要でシンプルな料金体系になっている。

ドコモahamo 8月1日に、ahamoとドコモminiのデータ容量が増量された。お試し目的で、今後、アンケートも実施するという

 ahamoは、2024年にデータ容量を当初の20GBから30GBへと10GB増量しており、MVNOも含む競合他社に大きな影響を与えた。各社の中容量帯の現行料金プランが30GB前後になっているのは、そのためだ。40GB化で、同様のことが再び起きるのではと警戒する向きもある。一方で、ドコモの前田氏は、あくまでお試しであることを強調しながら、「恒久化するかを現時点で決めているわけではない」と話す。

 前田氏によると、ahamoを40GB化した狙いは、トラフィックの増加に対応し、ユーザーの使用感がどう変化するのかを検証するためだという。その理屈は、次のような形だ。

 「ギガ増量は、基本的にお客さまの使い方を実証したいために始めた。トラフィックは毎年20%ずつ上がっている。そういう意味だと、ahamoを30GBにしてから2年ぐらいたった。さらに言えば、1セッション当たりのデータ量が増え、コンテンツ自体のデータボリュームが上がっている。これはお客さまがコントロールできるものではなく、ご利用いただく環境が変化している。

 日々データ量が足りずに、制限がかかっている方もいる。それに対してどのぐらいのレベルでサービスを提供していけばいいのか。上げてみて、どんな使い方になるのかを検証し、今後のサービスの形に生かしたいということでやっている」

ドコモahamo 総務省「モバイルネットワーク整備に関する最近の動向」から抜粋。直近では、年1.2倍のペースでトラフィックが伸びている

 年20%ずつデータ使用量が増加していくとすると、2024年に30GBでちょうどよかったとしても、2025年には36GBが必要になる。2026年には、43.2GBになり、10GB増量したとしても、わずかにデータ容量が足りないほどだ。コンテンツのサイズが上がっていけば、自然と容量は足りなくなる。ここに10GBを追加したとき、ユーザーの使い方がどう変化するのかを見極めるのがドコモの狙いだという。

料金値上げへの布石か? 一方で親子割もahamoに適用

 もっとも、ドコモの“検証”には、データ利用量だけでなく、新規獲得や解約率の増減などを測る目的もあるはずだ。実際、ahamoを30GB化した際には、シンプルさゆえに、他の料金プランよりも解約率が高めに出ていたことへの対策を打つ狙いがあった。その不満を解消するため、データ容量をトラフィックの増加に合わせて拡大した経緯がある。

ドコモahamo ahamoを30GB化した際の資料。当時は解約率が他の料金プランと比べて高止まりする傾向があった。これを解消するため、データ容量を上げている

 ただ、一度40GBまでデータ容量を増やし、ユーザーが慣れてしまうと、元の30GBに戻すのはなかなか難しくなるはずだ。突如キャンペーンが終わり、データ容量が不足して制限がかかるのは印象が悪い。他の料金プランとは異なり、割引などのしがらみが少ないahamoは解約も簡単なだけに、こうした悪評を招くのは避けたいはずだ。

 他社は既存の料金プランまで含めた料金値上げを実施し、その値上げに納得感を出す意味も込め、データ容量を増加させている。ドコモは、過去の料金プランを維持しているものの、「われわれも同様にさまざまなコストが高騰しているが、トラフィックはどんどん増え続けている」状況に変わりはない。

 そのため、「投資をし続け、できる限り高い品質のサービスを提供し続けていくとなると、原資は確保しにいかなければならないのは他社と同じ」(同)。値上げも含め、「ご理解をいただけるか、今も検討し続けている」(同)という。ahamoの40GB化でユーザーの理解を得られれば、一定程度の値上げに踏み切る可能性はある。

ドコモahamo ドコモの設備投資は対前年比で6.6%も増加している。ここにはネットワークの品質改善が含まれるものの、より高コストになっているのも事実だ

 とはいえ、ahamoの価格については、ドコモに迷いがあるのも事実だ。8月7日には、15歳以下の子どもが契約できるドコモ スマホデビュープランU15や、その契約が同一のファミリー割引グループ内にあると受けられる「ドコモ親子割(家族)」が導入された。子どもが契約していれば、親も1年間割引を受けられる施策だが、この対象プランにはahamoも含まれる。

 割引額は550円。1年限定ながら、ahamoが2420円で利用できることになる。前田氏は、「過去の“家族と言えばドコモ”という印象に比べると、だいぶパーセプション(認知度)が低くなっているのが課題」としており、「サービスに応じた形でお支払いいただくことは期待したいが、それと同時に長くお使いいただきたい」と語っている。一時的とはいえ、新規獲得のために値下げまでしている事実からも、ドコモが料金値上げに慎重を期していることが分かる。

ドコモahamo 新たに導入したドコモ親子割は、親側も割引を受けられる。ahamoも対象で、適用すると料金が2420円まで下がる
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