背景には、「改善はしているが道半ばであると思っている」(同)というネットワーク品質もありそうだ。いくらトラフィックが20%ずつ増えているとはいえ、それに対応したキャパシティーを十分確保できていないようだと、値上げを正当化する理由に欠けてしまう。設備投資が追い付いていない中、投資コストが上がっているのをユーザーに転嫁するのは納得感が薄くなる。
ドコモ自身、手を打っていないわけではなく、改善に向け、基地局は大幅に増強している。前田氏によると、「今年度(2026年度)は1万を超える5Gの基地局を打っていきたい」としている。これは、「高い品質でお使いいただくための容量の確保をまず行うため」だ。
ただし、現状では「部材の不足もあり、全国区では計画に少しビハインドしている」(同)というように、やや遅れも出ている。また、基地局を増設したあと、「チューニングも施さなければならない」。ドコモのネットワーク品質への不満は長期化しており、これらの改善ですぐにSNSなどでの不満の声が収まるかは未知数だ。
こうした事情もあり、他社もどこまでahamoの40GB化に追従するかは決めかねているようだ。ソフトバンクの社長執行役員兼CEOの宮川潤一氏は、「中容量帯の部分はバトルが激しい」としながら、「これ以上激しさが増しても、あまり変わらないかなと思う」と話す。
Y!mobileには、月額550円でデータ容量を最大5GB増量できる「増量オプション」があるため、「それを入れれば結果として競争力がある形で残っているため、現時点での追従は考えていない」(同)とした。KDDIも、UQ mobileのコミコミプランバリューに割引を入れたばかりで、すぐに動くような状況にはなっていない。代表取締役社長CEOの松田浩路氏も「全体の価値で十分対抗していける。プライスだけ、データ容量だけで競争するのではない」と、追随する予定がないことを明かした。
とはいえ、宮川氏が語るように中容量帯の競争は激化しているのも事実だ。ahamoの40GB化が好評を博し、他社からの流出が増えるようであれば、対抗策を打ち出す必要が出てくる。このような競争環境の厳しさも、ahamoの値上げを難しくしている一因といえそうだ。
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