ドコモが念願の増収増益に好転 「ドコモMAX」好調も後押し、今後は“ロイヤルユーザー”を重視

» 2026年08月06日 22時55分 公開
[田中聡,ITmedia]

 NTTドコモが8月6日、2026年度第1四半期の決算を発表した。

 売り上げは前年同期比1269億円増の1兆6170億円、営業利益は前年同期比65億円増の2462億円で、増収増益となった。ドコモはここ数年、販促費や端末関連コストの増大、通信サービス収入の減少などによって減益が続いていたが、今期は念願の増益に転じた。前田義晃社長は、「増益幅は小幅だが、これまで進めてきた変革の成果が着実に現れている」と手応えを話す。

 ドコモが増収増益を果たしたのは、第1四半期では2023年度以来、3期ぶりとなる。なお、四半期単位では、2025年度第4四半期にも増収増益を達成しているが、2025年度通期では増収減益だった。

ドコモ決算 対前年で増益に転じたドコモの2026年度第1四半期決算

 モバイル通信サービスの売り上げは、前年同期の144億円減から14億円減に減少し、改善が見られた。コンシューマー通信全体の営業利益も、前年同期から減益が半減して改善が進んでいる。

ドコモ決算
ドコモ決算 モバイル通信サービスの減収と減益の幅が減り、増収増益に貢献した

「ドコモMAX」の契約増でロイヤルユーザーが増加

 MNPは、転入超過(プラス)を3四半期連続で継続しており、「顧客基盤の改善が定着した表れだ」と前田氏。獲得単価も低下しており、効率よくユーザーを獲得できている。

 2026年度は、単価の高い料金プラン「ドコモMAX」の契約者や、ドコモ回線と光、でんき、金融サービスなどをセット契約するユーザーが該当する「ロイヤルユーザー」を拡大していく方針だ。ロイヤルユーザーは、2025年度第1四半期の1290万人から1530万人に伸びた。

ドコモ決算 高いARPUを持つロイヤルユーザーが増え、固定回線や金融サービスとのクロスユースも促進していく

 また、固定回線や金融サービスなどを併用するユーザーの解約率は、そうでないユーザーの約3分の1という結果も出ており、関連サービスのクロスユースも促進していく。

 ドコモMAXの契約数は400万を突破し、目標とする2026年度中に500万契約に向けて順調に推移している。4つのエンタメサービスから2つを無料で追加できる「選べる特典」の申し込み数は481万に拡大した。ドコモMAXの好調を受け、ARPUは前年同期から70円増えて3990円に上昇した。

ドコモ決算 ドコモMAXは400万契約を突破した
ドコモ決算 月額料金の高いドコモMAXの効果もあり、ARPUも上昇している

 短期解約を繰り返す「ホッピング」の対策については、総務省の有識者会議で、MNPや新規契約を条件としたポイント還元を、最長1年間に分割して提供することを認める方針を示した(関連記事)。

 この決定について前田氏は、「研究会で出された考え方をしっかり実装したい」と話す。「端末価格をコントロールすることで多くのお客さんが入ってこないようにしたり、過去の実績を見ながらコミュニケーションしたりした。つまり、何度も特典を適用されているお客さまに対しては(特典付与を)お断りするというオペレーションを進めてきた。短期解約につながらないよう取り組んでいく」

 短期解約に歯止めをかけ、長期利用が見込める高単価なロイヤルユーザーを育成・拡大できるかが、今後の成長を左右するといえる。

ahamo10GB増量の狙いは「利用動向の検証」

 ドコモは、8月1日からahamoのデータ容量を10GB増量するキャンペーンを実施している。この狙いについて前田氏は、ユーザーの使い方を実証するためだと説明する。ドコモユーザーのトラフィック量は毎年20%ずつ伸びており、1セッションあたりのデータ量も増えてきている中で、10GB増量することで、ユーザーの使い方がどう変わるかを検証することが狙いだとした。

 ソフトバンクやKDDIが料金プランの値上げを敢行した中でドコモは静観しているが、値上げについて前田氏は「お客さまにご理解いただきながら、どういう形でやっていくのかは検討したい。現時点では決めたものはない」とコメント。ahamoのデータ増量は、そうした動きとは逆行するが、前田氏はあくまで「実証のためである」ことを強調し、「料金政策とは独立したもの」だとした。

ドコモショップ1000店舗で銀行サービスを支援

 スマートライフ事業は金融を筆頭に増収となり、dカードやd払いの取扱高も引き続き伸びている。

 前田氏が「強化の軸」と強調するのが、8月3日にドコモSMTBネット銀行(旧住信SBIネット銀行)が新ブランドとして展開する「ドコモの銀行」だ。ドコモは、金融サービスのサポートにドコモショップを活用する。

 8月には、銀行口座の開設や初期設定をサポートし、ネット銀行に関するスマホ教室も実施する。金融サービスのサポート拠点として、メガバンクの有人店舗数を上回る規模である1000店舗への早期拡大を目指す。

ドコモ決算 銀行や証券のサービスを案内できるドコモショップを1000店舗まで拡大していく計画だ

基地局は急ピッチで増設も、「決して十分ではない」

 ドコモの懸案事項になっている通信品質向上の取り組みについては、2026年度第1四半期に約2500局の基地局を構築し、うち5G基地局は1500局を占める。

 この進展は2025年上期と同水準だというが、前田氏は「決して十分ではない。部材の不足などもあり、2026年度の計画に対して、全国で見ると下回っている」と話す。それでも、23区を含めて人口が集中するエリアでの対策は優先順位を上げており、計画を上回る形で進んでいるという。2026年度は1万局を超える基地局を増設する見通しだ。

【訂正:2026年8月7日19時25分 初出時、基地局増設の進展を「前年度を下回っている」としていましたが、正しくは「2026年度の計画に対して下回っている」でした。おわびして訂正いたします。】

 地下鉄での5G基地局は全国303駅で導入が完了しており、東京都に関しては70%超となる206駅での導入が完了した。

ドコモ決算 基地局は、第1四半期で2025年度上期相当を構築している

 さらに、都市部の混雑エリアやイベント会場でも快適に通信できるよう、設備の強化にも努める。ドコモが6月に導入したエリクソン製の基地局装置「RAN Processor 6672」は、エリクソンの従来装置と比べて4倍の収容効率を誇り、50%以上の消費電力削減を実現したという。また、3.5GHz、3.7GHz、4.5GHzの3バンド、計280MHz幅の「Tri-Band Massive MIMO」の運用も開始し、3倍の設備容量を確保した。

ドコモ決算 エリクソン製の最新基地局装置や3バンド対応のMassive MIMOを運用することで、体感品質向上に努める

docomo Starlink Directは熊本地震で3倍の接続数に

 山間部や災害時での通信を確保すべく提供している、スマートフォンと衛星の直接接続サービス「docomo Starlink Direct」は、提供開始3カ月で接続者数が650万を突破した。熊本地震の発生後、docomo Starlink Directの接続者数は、前週から約3倍に伸びたという。震災によって、ドコモでは熊本県の一部エリアで約2日間、通信障害が発生したが、その中でdocomo Starlink Directに接続できたユーザーが多かったようだ。

ドコモ決算 docomo Starlink Directの接続数は650万を突破。気球型HAPSも導入する

 成層圏に基地局を飛ばすHAPSでは、気球型の基地局を導入し、2026年9月に石川県の能登で実証実験を行う。HAPSは個人向けというよりは、限定されたエリアでの産業創出や、災害時の状況把握などの利用を見込んでいる。商用サービスの開始時期は2026年度の予定だが、「完全には決まっていない」(前田氏)とのこと。

 ドコモはもともと有翼型でのHAPSに取り組んでいたが、気球型を採用した理由について前田氏は、機動性に優れていることや、センシングをするためのカメラを積むことに適していることなどを挙げた。ソフトバンクが採用しているLTA型の機体よりは小さいサイズになるという。

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